「自動販売機」から「信用金庫」へ?

北村隆司「どう思う「子供の義賊」― 震災現場で何が起こったか?」http://blogos.com/article/29764/


東日本大震災」について「聞いた話の中から、考えさせられた幾つかのエピソードを紹介してみたい」として、


然し、何と言っても衝撃的だったのは「子供義賊」の話だ

それによると、避難所の子供数人が無人気仙沼信用金庫に行き、現金数千万円を持ち出し、そのお金を全て避難所にいる老人に配ったと言うのだ。これには、警察もどうしてよいか、ただオロオロするばかり。子供いわく「義援金が集まっても現地には1円もこない。悪い事とは判っていたが、こうするしかなかった。お爺さんお婆さんは涙を流し喜んでくれた」と。

これについて、washburn1975氏はこのような事件が起こったことはまだ確認されていないという*1。ただ3月22日に「宮城県気仙沼市松崎片浜の「気仙沼信用金庫」松岩支店」から4000万円が盗まれているのが発覚している*2。この事件の容疑者はまだ捕まっていない。また石巻市でコンビニのATMから現金を盗んだ「少年」が逮捕されている*3。さらに、3月17日に朝日の記者が「宮城県北部の被災地で」「男子高校生4人が、自動販売機を壊し、ウーロン茶やコーヒーを取り出し」、「避難所に持って行き、高齢者らに配って回っていた」のを目撃している*4。washburn1975氏が推測するように、「子供義賊」話がこれらの話がブリコラージュされながら作られたというのは納得できる。
北村氏は「聞いた話」と書いている。彼を信用する限り、ブリコラージュしたのは北村氏ではない。彼はこの話を実話だと信じて、それを拡散した*5。既にそのような話が(北村氏の知人を含む)或る種の社会圏で流通していたことになる。さてそれはどのような社会圏なのか。
この件の問題は、民俗学的問題として議論されるべきなのに言い出しっぺ(?)の北村氏も含めて(道徳的)社会批評の準位で語られてしまっているということだろう。このことにほんの少しは気づいているらしいMidasは「本件の背景には先日の放射能マンションの様な子供が現実の主人公にならざるを得ないhttp://bit.ly/zex7v6無力感がある」と言っている*6。残念ながら、ミクロな伝承やブリコラージュということを吹っ飛ばしていきなりこの結論では、B級の文化批評でしかないだろう。「お前が1番バカid:washburn1975」なんて烏滸がましい。