石原地理学(メモ)

承前*1

「「石原支持」声なき声の260万票を読み解く」http://blog.goo.ne.jp/moominwalk/e/f5d59ccab7c542015fcc2e9923e872f6
松永英明*2石原慎太郎支持者の都内分布を地図化してみた」http://www.kotono8.com/2011/05/04ishiharamap.html


4月の東京都知事選で石原慎太郎は東京都内全域で37%以上の得票率を得ている。しかし、大まかに言えば、その支持率は「西低・東高」である。支持率が特に高いのは都心部千代田区と港区で、西に行くにつれて徐々に低くなっている。他方、東京東部は都心ほどではないものの、何処も45%以上の高支持率を保っている。また、北部(北区、足立区)でも石原支持率は微減している。松永氏のエントリーでは、石原支持率が地図上に色別で示されており、支持率の分布が直観的にわかる。さらに、この上に様々な人口学的・社会学的な変数を重ね合わせてみると面白いかも知れない。
なお前者の記事では、地域別だけでなく、年齢層別その他の傾向の考察もなされている。20代では東国原英夫が優勢で、石原優勢は40代以上というのは以前にも言及した。また、「石原都政に不満はなくても石原以外の候補に投票したという人は少なからずいる」。前回の都知事選では、「無党派層」の支持は浅野史郎が石原を上回っていたが、今回は「無党派層」の支持は石原がいちばん多かった(「民主党支持層」よりも石原支持率が高い)。次いで、東国原、渡辺美樹小池晃の順。また、今回はジェンダーの影響はなかったらしい。それから、実際に石原慎太郎に投票した人の言葉が引用されている。これを見る限り、「震災」の影響は大きいようだ。ただ、広原盛明氏の危惧する「ファッショ的首長への期待」*3というよりも〈現職〉の力が大きいようではある*4。ネット世界ではホット・イッシューである石原のレイシズム問題も漫画規制問題も、さらには「天罰」発言も東京都民の投票行動に影響をそれほど与えていなかったという方がショッキングであろう。
ところで、


shigeto2006 昔から同じ人が住んでいる下町のほうが郊外の住宅地より保守的ということだろうか。私も石原慎太郎は大嫌いだが、まだ彼なりの信念を持っているだけ、民意に阿るだけの橋下徹よりはマシに思えてきたから困る。 2011/05/04 Twitterでのツイートを閲覧4 clicks
http://b.hatena.ne.jp/shigeto2006/20110504#bookmark-41019566
今はもうそう単純に東京の東西を分けることはできない。西部の住宅地にしても、既に住民は2代目や3代目になっているわけだし。また、江戸川区葛飾区は元々(多摩地区と同様に)農村地帯、さらには工業地帯で、住宅地として開発されたのは西部よりも遅い。葛飾区=下町というイメージは『男はつらいよ』の観過ぎ? また、東京東部の湾岸地帯は東京でもいちばんの新興住宅街と言えるのでは? 東浩紀北田暁大『東京から考える』*5、若林幹夫『郊外の社会学*6を取り敢えず参照のこと。
東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム (NHKブックス)

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郊外の社会学―現代を生きる形 (ちくま新書)

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ところで、http://d.hatena.ne.jp/elkoravolo/20110425/1303720532によると、統一地方選挙民主党首長選挙では負けているものの、議員選挙では議席を微増させており、「民主退潮」とはいえないという。