レゲエとホモフォビア(メモ)

承前*1

「レゲエ今昔」http://black.ap.teacup.com/fukashinogakuin/59.html


2004年の記事。「ラスタファリズム*2ホモフォビアとの関係に関する叙述をメモ;


確かにもともとラスタファリズムには、アフリカ起源の文化にありがちなマチズムと裏返しの、性差別的・同性愛差別的な伝統はあった。また「ナイヤビンギ」という名称が「白人を殺せ」という意味の言葉から来ているという説もあるように、排他的で狂信的、暴力的なアティチュードを少なからずサポートする部分があることも確かだ。しかしそうした側面が、レゲエ・シーンの中でここまで力を持ったことは、かつてなかったのではないか。
昔、CAPLETONやBUJUがにわかラスタ路線を打ち出し始めた時は、その力強い素晴らしいサウンドに「これからダンスホールは面白くなるに違いない!」と期待したもんだったけど、まさかこんなことになってしまうとは…。まあダンスホールというのは圧倒的なマッチョ社会、競争社会なので、誰かが過激なことを言ってウケると、今度はもっと過激なことを言うやつが出て来て、ヤンキーの根性比べのように、下らない風潮が際限なくエスカレートしていってしまうのかも知れない。
ラスタファリアニズムについての(信者側の立場からの)一般的概説としては、


Walter Robinson II "What is Rastafarianism?" http://www.lastchanceministries.com/Rastafarianism.htm

ラスタファリの同性愛観としては、


Ayinde "Homosexuality" http://rastafaritimes.com/rasnews/viewnews.cgi?newsid1052657987,82993,.shtml


「同性愛」には反対だけれど、不寛容はよくないという穏健派?
また、


Krishna Rau "Rastafari homophobia is biblical" Xtra November 29 2007 http://www.xtra.ca/public/viewstory.aspx?STORY_ID=4003&PUB_TEMPLATE_ID=7


はラスタファリアニズムの「ホモフォビア」をその旧約聖書解釈に遡って論じている。Xtraは"Canada's Gay and Lesbian News"と銘打っている。

「レゲエ今昔」に戻ると、日本のレゲエ・シーンについても記述がある。全くの無知だったので、なかなか興味深い;


このアホで平和な島国では、この夏ぐらいから空前のレゲエ・ブームで、こないだまでB-BOYの格好してた脳みその足りない連中が、レゲエダンサーのTバックじゃんけん見たさに「もうヒプホプなんて古いよ、これからはレゲエだよね〜」とかヌカして大量にダンスホールシーンに流れ込んでいるらしいけど、このままの状態が続けば、そのうちマジでこの国でも、ヘイト・バイオレンスで殺されるゲイやオカマが出てくるだろう。
また、そのコメント欄にて、このblog作者は

僕が高校生ぐらいの頃ですが、ランキンさんがデビューした頃…まだジャパレゲなんて言葉がない頃は、ダンスホールの人は歌詞に知的なユーモアがあって、思想的にも左寄りな感じがありました。日本語ラップなんかと比べても鋭い批評精神があった。
ランキンさんのデビューアルバムを聴いた時の衝撃は忘れられません。ド頭のフレーズが「生まれて/学校行って/働いて/ボケて死んで/楽しい人生苦しい人生/紙一重/裏表」ですからね。笑

でも今は真逆ですね。
ジャパレゲと言えば頭にタオル巻いた右寄りのヤンキーの音楽で、「日本人としてのプライド」なんてものをワーワーがなるだけ。
揚げ句に「オカマ嫌いな奴手を挙げろ!」
どうせ身近にオカマなんかいないんだから嫌いもクソもないと思うんですが。
いつからこうなっちゃったのかな…。
まだ湘南の風みたいな歌謡曲をやっててくれた方が気楽でいいです。

ともいう。ランキン・タクシーとは懐かしい。また、別の人曰く、

私も今の日本のレゲエシーンについて、うまく言葉にできない違和感を感じています。
それは多分、BANCHOUさんのおっしゃる
「頭にタオルを巻いたヤンキーの音楽」という
部分に大きく含まれている要素だと思うのです。

先日、渚音楽祭に遊びに行ったのですが、
レゲエステージのある種異様な閉鎖感に驚きました。
オーディエンスのノリは、ヤンキーが地元の祭りでハメを外したような品の無さ。
また、そこに出てくるレゲエシンガー達の曲が
すべて、
「一度つまづいても、立ち上がればいい」とか
「あなたはひとりじゃない」とかそんな歌詞ばかりで、まるでSMAPの「世界にひとつだけの花」を
裏打ちにアレンジしたような
薄っぺらいカタルシスに、非常に居心地の悪いものを感じました。

あれは、ちょっと前に「ゆず」とか「ZARD」とかが歌ってた内容ですよね。
ということは、つまり今のジャパレゲと呼ばれるシーンとは、「青春フォーク」とか「OL応援歌」のアップデート版ってことでしょうか。
それはレゲエとは一番遠いとこにある音楽性だと思うんですけどねぇ…。

〈ヤンキー文化〉としてのレゲエですか。

*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100925/1285383582 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100927/1285609475

*2:英語ではRastafarismよりもRastafarianismの方が一般的みたい。