「内容に誤りがある」

『読売』の記事;


金総書記の伝記、「北朝鮮外の本でたらめ」と押収


 【バンコク=深沢淳一】ミャンマーの作家が北朝鮮金正日(キムジョンイル)総書記に関する伝記をミャンマー国内で出版したところ、ヤンゴン北朝鮮大使館員が「内容に誤りがある」として、作家の手元にあった300部余を押収していたことがわかった。

 作家や出版関係者は本紙に対して、「行き過ぎた行為だ」と憤慨している。

 この作家は、ヘイン・ラット氏(62)。オバマ米大統領をはじめ、世界の政治指導者の伝記を含む約90冊の翻訳や著書をビルマ語で出版しており、国内では有名。最近、ミャンマー軍政の検閲当局の許可を得て「金正日 北朝鮮の親愛なる偉大な指導者」と題した新作を出版したが、7月上旬、ラット氏の事務所を突然訪れた北朝鮮大使館の外交官から「書店に出回った分も含めて、本を全部よこせ」と要求されたという。

 既に700部が販売されており、「無理だ」と断ったが、大使館員は後日、事務所に保管していた310部を持ち去った。ラット氏は「問題に巻き込まれたくないので応じた。代金は払われていない」と語る。

 伝記は米国で出版された総書記に関する本などを参考にした。北朝鮮が具体的にどんな記述にいきり立ったかは明らかでないが、大使館員は「北朝鮮国外で書かれた本はすべてでたらめ」と話していたという。軍政当局が押収を容認したかどうかは不明だが、北朝鮮の朴宜春(パクウィチュン)外相のミャンマー訪問に配慮して、認めた可能性もある。ヤンゴンの出版関係者は、「ミャンマーは独立国であり、こうした行為は許されないはずだ」と憤っている。
(2010年8月2日23時28分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100802-OYT1T01032.htm

 
北朝鮮が具体的にどんな記述にいきり立ったかは明らかでない」。普通に考えると、金正日の神話的な出生地と実際の出生地のずれとか。また、ビルマということを考えると、アウン・サン廟爆破事件に関する記述とか。というか、この事件のためにビルマ北朝鮮と国交を断絶したのだが、数年前に国交が恢復されたときに、北朝鮮側はどのような申し開きをしたのだろうか。今の軍事政権にしたって、この点を曖昧にしたのだったら、自らの権力の正統性に関わるのでは?
中国の文革末期におけるミケランジェロ・アントニオーニのドキュメンタリー『中国』*1への批判運動を思い出した。そういえば、その時代、日本においてもたしか文学座の芝居が駐日中国大使館からいちゃもんをつけられたということがあったのだ。

ところで、先月香港の某新聞を読んでいたら、平壌近郊の「江東」という土地が(日本ではまだ漢字表記が定まっていない)金ジョンウン*2の故郷として、母親・高英姫の故郷である元山が第二故郷として制定されたという記事があった。江東はジョンウンとは全く関係はないが、1993年に檀君の陵墓と称される古墳が発掘された場所なり。