ハイアラーキーのメディアとして?

『朝日』の記事;


男性受刑者に性的行為させる 容疑の看守部長逮捕 福島

2009年12月15日11時21分


 男性受刑者に性的行為を強要したとして、福島刑務所(福島市南沢又)が、同刑務所の看守部長、平井富美雄容疑者(60)を特別公務員暴行陵虐容疑で逮捕し、法務省仙台矯正管区が15日に発表した。

 同刑務所によると、14日に逮捕した平井容疑者は10月18日の勤務中、30歳代の男性受刑者に、自らの下半身にわいせつな行為をさせた疑いがある。同刑務所によると、平井容疑者は主に処遇部門に所属し、受刑者の運動や入浴に立ち会うなどしてきたという。

 加藤正博・仙台矯正管区長は「職員がこのような事案を起こした疑いにより逮捕されたことは誠に遺憾であり、深くおわび申し上げます」とのコメントを発表した。
http://www.asahi.com/national/update/1215/TKY200912150201.html

「自らの下半身にわいせつな行為をさせた」ってどういうことなのか。わからないので、勝手に妄想すると、たしか吉田敦彦『昔話の考古学』に、南太平洋の或る社会の成人儀礼か何かでイニシエーションを受ける者が年長者のペニスをフェラチオして精液を飲み込むというような話があったのを思い出した。この話を読んで、この社会では精液というものがジェンダー内/ジェンダー間のハイアラーキーを確定するメディアとして機能しているんだなと思ったのだ。つまり、


精液を与える/受け取る
男性/女性
年長者/若者


という図式になる。刑務所も男子秘密結社と同様の閉鎖的な集団ではある。但し前者においては、イニシエーションを受けた後は、今度は自分が精液を受け取る側から与える側に変わるということがあるわけだが、刑務所においてはそのような地位の変更はない(牢名主的な囚人自治があるとしたら、話は別)。南方社会の男子秘密結社については、やはり岡正雄*1「異人その他」をマークしておくべきか。

昔話の考古学―山姥と縄文の女神 (中公新書)

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異人その他―他十二篇 (岩波文庫)

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上の記事に「ヘテロが征服欲を満たすためにこのような行為に及ぶことはどれくらいあるのだろう」というコメントあり*2。「ヘテロ」かホモかは関係ないだろう。そもそもホモセクシュアルという人格特性は19世紀英国で作られたもの。