夫婦同苗字の歴史(メモ)

夫婦別姓問題と日本における氏名の変遷について(緑色の文字は追記です)」http://sicambre.at.webry.info/200802/article_7.html


2008年に書かれたものであるが、私がhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090918/1253249073で書いたようなことをさらに詳しく述べている感じ。
少し異論を述べると、中世以来形成されてきたイエ制度と現在の新民法における〈家族〉との差異に鈍感であることが指摘できるだろう。イエ制度は戦前においても既に都市部を中心に空洞化が進んでいたのであり、また社会意識の準位においては双系化が進んでおり*1、「家族の一体感」というのは「夫婦別姓」に反対する理由とは最早ならないだろう。
それから、


では、姓と苗字を使い分けていた中世の武士はどうなのかというと、やはりウジナとカバネと実名の組み合わせが公的な個人の名称となります。上記の足利尊氏の場合、源朝臣尊氏が公的な名称となります。では、足利という苗字はどのような場合に使われるのかというと、公的な場以外ということになります。

 もっとも、公的な場と私的な場との違いがどのような基準によるのかというと、私の学識では的確な説明は難しく、循環論法的な説明になりますが、ウジナ+カバネを使っていれば公的な場、苗字を使っていればそうではなかったと当事者たちが判断していたのだろう、と述べるにとどめておきます。

幾度か引用した岡野友彦『源氏と日本国王』によれば、「公的」とは天皇との関係ということです。天皇からの官位・官職の授与は(例えば)「足利尊氏」ではなくて「源朝臣尊氏」に対して行われる。
源氏と日本国王 (講談社現代新書)

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