I. M. Peiから水の話

Jonathan Glancey “IM Pei wins Royal Gold Medal for Architecture” http://www.guardian.co.uk/artanddesign/2009/oct/07/im-pei-gold-medal-architecture


中国系米国人の建築家I. M. Pei(貝聿銘)がRoyal Institute of British Architects(王立英国建築家協会)*1のGold Medal*2を受賞した。
記事に曰く、”He certainly is not a fashionable architect today, and perhaps he has never been one.” 「ファッショナブルな建築家ではない」、そう? 貝聿銘の代表的な作品といえば、巴里のルーヴル美術館のピラミッド、米国オハイオ州のRock and Roll Hall of Fame、香港の中国銀行といったところだろう*3。英国内に彼がデザインした建物はあったっけ?
貝聿銘といえば、先月末に従妹夫婦を案内して、彼の本貫でもある蘇州の蘇州博物館*4へ行き、貝聿銘が設計した空間を堪能してきた。蘇州では「平江路」*5という小径がよかった。「平江」というクリーク沿いの約1.5kmの小径。途中にある「魚食飯稲土竈館」*6の東坡肉は美味。また季節の物では栗と鶏肉の煮込みも。蘇州といえば庭園なのだが、蘇州の中心部には少なくとも14の庭園があり(『蘇州』中国旅游出版社による)、その全部を半日かそこらで見物することはできない。その中でもお勧めは小振りな「網師園(The Master-of-Nets Garden)」*7。表通りから少し隠れている感じもよい。
蘇州はまだ中心部にクリークが残っている方だが、上海はその中心部からクリークが殆ど消えてしまっている。かつて縦横に張り巡らされていた川が消えてしまったということでは東京も同じ。数寄屋橋とか京橋という地名はその痕跡だ。そういえば、梁朝偉、陳慧琳(Kelly Chen)、仲村トオル阿部寛らが出たJingle Ma(馬楚成)の映画『東京攻略』はストーリーはチープな陰謀論主軸にして、ちょっとアレなのだが、特に後半部で東京が(今でも)〈水の都〉であることを喚起した点において、東京を描いた名画の末席に加わることが可能だといえるだろう。

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