双系化?

http://taraxacum.seesaa.net/article/129398484.htmlhttp://taraxacum.seesaa.net/article/129433790.htmlには、補足的に意見を述べたいということもあるのだが、現在その余裕なし。
さて、「夫婦別姓」問題とも関係があるのだが、家族の双系化の話。社会学や人類学でいう父系や母系というのは、個人を系譜上でどう位置づけるかという問題であり、父権/母権とは問題の準位を異にする。自分は誰の子孫かというときに母方を排除した系譜をつくるのが父系制、父方を排除した系譜をつくるのが母系制ということになる。宗教的な側面で言えば、仏壇にどちらの側の位牌を置いて拝むのかという問題になる。霊友会系の教団では、昭和初期の段階で、父系・母系双方の先祖を祀るということを始めている*1。勿論、現在も多くの人が父親の苗字を継いでいるので、現代日本社会は父系制であると一応は言える。ただ、家族一般についてのイメージのレヴェルでは、かなり双系化が進行しているといってもいいのでは? 「夫婦別姓」に頑なに反対するような〈右〉の人も含めて。安倍晋三岸信介の孫であるとか麻生太郎吉田茂の孫であるということは当たり前のように言われる。しかし、これらの場合は母方の祖父/娘が生んだ子どもとしての孫という関係であることに注意すべきだろう。つまり、厳密な父系制においては系譜上から抹消されるべき関係なのである。少なくとも、父系制の観念が強い中国では父方の祖父/息子の子どもとしての孫という関係と同等に扱われることはない。外祖父外孫として有徴化される。勿論、外祖父や外孫という言葉は日本語にあるが、日常会話はおろか、書き言葉においても既に殆ど使われなくなっているといっていいのではないか。また、安倍晋三麻生太郎の場合、母方の系譜は父方の系譜よりも目立っている。何が言いたいのかといえば、現代の日本において、苗字を異にする父方と母方の先祖を同等なものとして語るということは既に行われており、「夫婦別姓」が家族の〈一体感〉を崩すという3K的な主張の根拠は弱くなってきているのではないかということだ。それから、家墓というのが明治以降に発明された伝統であるにすぎないのだが*2、家名を2つ併記した〈双系墓〉というのも増えている感じはするのだが、何時頃からなのかはわからない。


ところで、先月香港の新聞(『東方日報』)を見ていたら、鳩山由紀夫ブリヂストンの創業者、石橋正二郎*3の〈外孫〉であることが強調されていたが、これは日本ではあまり強調されていないのでは?