終末論? など

承前*1


http://katoler.cocolog-nifty.com/marketing/2009/06/post-e945.html


幸福実現党」について。曰く、


最近、通勤電車の中吊り広告で目に付くのが大川隆法の「幸福実現党」のポスターである。幸福の科学は大川教祖のチャネリングにより降臨した「霊言」によって運営されている新興宗教だが、現在の閉塞状況を捉えて政治の表舞台に立とうとしている。
幸福実現党のポスターの中には、大川隆法の著書「国家の気概」が紹介されていて、その内容たるや安倍晋三内閣の主張かと見まがうほどで、反北朝鮮国家主義的言説がずらりと並んでいる。一見、右翼的な主張ではあるが、かつての国家神道と異なるのは、神格化された天皇の座に自分を置いて、幸福の科学による神権政治の実現を目指している点だろう。ということは、天皇制を廃止させるということなのかと、綱領を読んでみると、どうもそれはなく、天皇制は温存させるということらしい。言っていることは矛盾だらけで、色々な要素をパッチワークのように寄せ集めているだけの空疎な中味だが、現在の時代の雰囲気を代表している面もある。
また、「幸福実現党は大川教祖の夫人、大川きょう子が党代表代行となっているが、先月行われた立党大会での彼女の演説をみると、自分が何者であるかを語るより以前に、既存の政治勢力の否定を徹底して繰り返している」。「大川教祖夫人の演説は、セリフやパフォーマンスを丸暗記した大根役者の演技を見るようだが、ドラッガー(sic.)*2が指摘していたファシストの特徴が現れていて、一見の価値がある」。
http://facta.co.jp/article/200809031.html


小林興起幸福の科学なの? ところで、http://facta.co.jp/article/200708035.htmlによると、大川きょう子さんが幸福の科学で失脚し、平信者に降格されたということだが、「幸福実現党」のトップは彼女で、どういう事情があったのか知らないが、いつの間にかに復活していたということになる。
さて、


大川の親父は新興宗教遍歴を繰り返していてGLAの元信者だった。このGLA、元信者の平井和正幻魔大戦そのまんまの世界観をもったカルトで、白装束の連中が所属していた団体。白装束の千乃が本で初めて使ったエルカンターレなる珍妙な名前を、大川は自分の本名だとワイドショーで絶叫してることからわかるように幸福の科学の科学の世界観は、GLAの幻魔対戦的世界観に大きな影響を受けている。オウムの麻原も一時期GLAにいたと言われており、彼等に共通してるのはキチガイじみたトンデモ霊能信仰、おどろおどろしい終末論的世界認識、そして世界を救うのは太陽系で一番偉い自分たちの教祖という病的なナルシズムである。
http://d.hatena.ne.jp/buyobuyo/20090528/p3 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20090528#1243455108
たしかに「パナウェーブ」の千乃裕子*3GLA出身だったわけだが*4、この記述は宗教史的に誤解を招く虞がある。GLAという教団の教義については幾つかの時期に分けて考えなければならないだろう。それについては、例えば沼田健哉『現代日本新宗教』などを参照していただくとして、いちばん重要なのは教祖である高橋信次の生前と死後であろう。平井和正の介入は死後である。たしかに『幻魔大戦』で「ハルマゲドン」という言葉を初めて知った人も多いのだが、平井和正以前のGLAの教義には目立って終末論的なところは見られないと言っていいだろう。勿論、終末論的な要素を全く含まないような宗教というのもあまりないだろうけど。それよりも重要なのは輪廻転生説の徹底だろう。日本或いは中国の佛教は輪廻転生を相対的に脇に置くことで存立しているわけだが、輪廻転生説を徹底することにより、先祖崇拝が入り込む余地がなくなる。また、幸福の科学の教義が終末論を強調したものでないことについては、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070704/1183564169を参照されたい。それから麻原彰晃が(影響を受けただけでなく)GLAの信者だったという話は初めて知った。どなたか出典を教示されたし。また、幸福の科学は或る時期以降、高橋信次霊言集とかを絶版にするなど、GLAの痕跡を隠蔽する操作を行っている。因みに、GLAに潜り込んで調査をしていたのは学部(東大宗教学科)時代の四方田犬彦氏。なお、高橋信次は人格が高潔で、信者以外からもそれなりの尊敬を受けていたということは記しておくべきだろう。
現代日本の新宗教―情報化社会における神々の再生

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