『重訪辺城』

石剣峰「張愛玲唯一一次書写“辺城”台湾」『東方早報』2009年6月10日


張愛玲*1の遺作「重訪辺城」が北京十月文藝出版社から刊行される。「重訪辺城」は彼女が1961年に台湾と香港を訪れた時の紀行文で、前半では台湾について、後半では香港について書かれている。約1万5000字。これは張愛玲の唯一の台湾訪問であり、「重訪辺城」は彼女が台湾に直接言及した唯一のテクスト。しかし、執筆された時期は遅く、台湾の『光華雑誌』1982年11月号の引用があることから、早くとも1982年以降であるとされている。また、このテクストの原型は1963年3月に米国のThe Reporterに発表された”A Return to the Frontier”という英語のテクスト。この中で、張愛玲が白先勇などの当時台湾の新進作家たちを”bedbugs”(南京虫)と形容したために、台湾で「重大争議」が惹き起こされた。その誤解を解くために改めて中国語のテクストを書こうとしていた可能性がある。
「重訪辺城」は台湾の『皇冠雑誌』2008年4月号に掲載され、さらに”A Return to the Frontier”、短編小説「郁金香」、エッセイ「天地人」などと併せて、台湾皇冠出版社から『重訪辺城』として刊行された。大陸版では、エッセイ10数篇が収録されるというが、”A Return to the Frontier”が入るのかどうかは、記事では言及していない。