ヒスパニック問題としてのインフルエンザ(メモ)

http://katoler.cocolog-nifty.com/marketing/2009/05/post-d269.html


(メヒコからの)「不法移民の多いカリフォルニア、テキサス、ニューヨークの各州で新型インフルエンザも突出して発生している」。「米国では、不法移民の流れと一致する形で新型インフルエンザが拡大しているのである」。こうした言説の取り扱い方は難しく、下手をすれば、メヒコ系、ヒスパニック系の人々へのレイシスト的な攻撃を誘発することになってしまう。勿論、このエントリーは、


それにしても、不法移民がヒスパニック系移民の半数以上を占めているというのは、何を物語っているのだろうか。それは、米国で彼らがどのような産業に従事しているかを見れば判明する。
ヒスパニック系の人々が従事している代表的な仕事は、農業と食肉産業であり、両産業におけるヒスパニックの就業比率は実に4割を超える。米国の農業というと大規模化、機械化が進み、省力化されているというイメージが先行しているが、実際は果物や野菜の収穫などは、人手に頼らなければならず、農作業や食肉の解体、加工といった、白人や黒人でさえも嫌がる底辺部分の仕事をヒスパニック系の人々が担っているのである。

あらためていうまでもないが、こうした仕事に従事するヒスパニック移民の半数以上は、不法移民である。米国の農産品、食肉は世界的に競争力を持った戦略商品だが、その低価格はヒスパニック層、特に不法移民層の低賃金労働によって支えられている。米国の農業、食肉産業は、ヒスパニックの不法移民の貧困を収奪することによって支えられているのが実態といえる。

というふうに、批判的な視点に基づいているのだが。
さて、このエントリーは日本国内での被感染者が発見される以前に書かれたもの。昨日は130人台だったのが、今朝は160人を超えて、今さっきニュースをチェックしてみたら、

1歳児の感染も確認=感染者173人に−新型インフル

5月19日11時9分配信 時事通信
 神戸市は19日、新たに1歳児を含む10人の新型インフルエンザ感染者を確認したと発表した。国内の感染者は計173人となった。
 同市によると、感染が確認されたのは、1歳から18歳までの男女10人。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090519-00000059-jij-soci

となっている。勿論、社会学的にいえば、ちょうど統計資料上の犯罪の発生件数が単純に実際に生起した犯罪の数を反映しているのではないように、「感染者」の多少というのも、実際の「感染者」の数を単純に反映しているのではなく、例えば人々の医療制度への信頼度や依存度が大きく影響しているとはいえる。
個人的に心配なのは、上海に帰る時に、日本発の飛行機の検疫はかなり強化されているんだろうなということ。ホテルに缶詰めにされてしまったらどうだろうか。医療観察措置のためにホテルとかに閉じ込められた人の話とかをメディアを通して読むと、いちばんの問題は退屈であるらしい。まあ、ノートPCさえ持ち込めれば、コミュニケーションも仕事もできるわけだが。
学校は休校して、福祉施設も休業、企業は出張を自粛して、ライヴのようなイヴェントも中止ということになると、これは経済問題であり労働(雇用)問題だということになるのだろう。ただ、そうするとみんなが家に籠もらなければいけないわけで、このことは10か月後の出生率にどんな影響を与えるのか。或いは、身体的なコンタクトを回避するようになるので下がる?