少し前だが、J-CASTニュースの記事;
気になったのは、「スピリチュアルブームになった2006年」という表現。2006年に何があったのか。江原さんのブレイク? 或いは、TVにおけるそれ関係の放映時間が前年と比べて飛躍的に増えた?
テレビのスピリチュアル番組 「民放連の放送基準違反」
テレビや女性誌では今、霊視や占いのタレントがひっぱりだこのスピリチュアルブームだ。が、特に公共性が問われるテレビで、これらタレントによる過剰な演出が見られ、放送界から民放連の放送基準に抵触するとの声が出ている。さらに、番組ビデオなどが霊感商法などのPRにも使われているというから事態は深刻だ。
「問題のある番組を作ったという意識がないのでは」
「『善意のボランティア』をペテンにかけた江原啓之とフジテレビ」。週刊文春2007年11月8日号は、こんな大見出しでテレビのスピリチュアル番組を指弾した。文春が問題にしたのは、フジテレビ系で7月28、29日に放送された「FNS27時間テレビ」。この番組では、孫悟空に扮した香取慎吾さんが、震災被害者にリンゴを贈る活動をしていた秋田県の美容院の経営者女性(50)にサプライズを仕掛けて喜ばせる場面が放送された。
ところが、サプライズは、「傷つけられた」と女性を怒らせるものだった。スピリチュアル・カウンセラーの江原啓之さんが、ボランティアに熱を入れて美容院の経営をおろそかにしていると女性を諭す内容だったからだ。それも、亡き父親からのメッセージという弱みを利用したような諭し方だった。女性から抗議を受けたフジテレビでは、10月8日に「27時間テレビその後SP」でフォローする内容を放送した。
一方、この問題は、放送界の自主的機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」でも、審議テーマに取り上げられた。10月12日に開かれた放送倫理検証委員会では、委員から番組への厳しい意見が次々に出されたが、それはフォロー番組にさえ向けられた。
「訂正でも何でもない」「問題のある番組を作ったという意識がないのでは」さらに、はやりのスピリチュアル番組に対する警告とも言える発言まで飛び出したのだ。
「民放連の放送基準には、迷信、占いの類の表現に関する条文や、個人的な問題を扱う場合は、出演者および関係者のプライバシーを侵してはならないとか、不快な感じを与えてはならないなどいくつか条文がある。これに触れるという言い方はできるのではないか」J-CASTニュースがフジテレビにこの指摘をどう考えるか質問すると、広報部の担当者は、「BPOからは今月中旬に当該番組について正式に質問書をいただき、弊社としての見解、回答は既に提出しておりますので、現段階でのコメントは差し控えます」と回答してきた。
霊感商法に悪用されるケースもオウム真理教の事件以降、テレビ各局では、霊能番組などを自粛していた。それが、こうした番組は視聴率が取れると最近になって次々と復活させたようだ。そして、スピリチュアル番組の悪影響は、社会に広がっている。全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士によると、霊感商法の勧誘にも番組ビデオなどが巧みに利用されているというのだ。
「口当たりのいい言葉で被害者に近づき、ビデオを見せたりして、まず霊的な関心を持たせます。そして、次第に心を支配し、金品を奪って骨までしゃぶるようになるのです。それも、被害が顕在化するのは、何年もたってからのことが多い」(紀藤弁護士)紀藤弁護士によると、スピリチュアルブームになった2006年から、こうした勧誘が増えているという。国民生活センターによると、霊感に訴える「開運商法」は、06年度には全国での相談件数が4年前の倍近い約3000件に達しており、被害金額も約27億円に膨れ上がっている。
前出の連絡会は07年2月21日、タレントらが「霊界やオーラが見える」と断言するなどして、霊感商法の勧誘を容易にする素地を作っているなどとして、民放連や各放送局に対し、行き過ぎの是正を求める要望書を提出した。さらに、12月4日午後1〜5時には、この問題における初の電話相談窓口「スピリチュアル・霊感被害110番」(03−3501−7071)を実施することにしている。
霊感商法を手掛けているのは、紀藤弁護士によると、9割以上が世界基督教統一神霊協会(統一教会)だという。
そこで、J-CASTニュースが、統一教会の広報に聞くと、
「一部週刊誌で昨年、タレントビデオで勧誘していると報道されましたが、そういうことは一切ありません。霊感商法で金品を奪っているということも、事実に反しています」との答えが返ってきた。
http://www.j-cast.com/2007/12/01013856.html
というのも、樫尾直樹編『スピリチュアリティを生きる』は2002年、伊藤雅之さんの『現代社会とスピリチュアリティ』は2003年、また伊藤雅之、樫尾直樹、弓山達也編『スピリチュアリティの社会学』は2004年に出ている。こうした研究書が出るというのは、既に世間で「スピリチュアリティ」なるものが云々されていることを前提としている。さらに遡れば、島薗進先生の『精神世界のゆくえ』が刊行されたのは1996年である。また、島薗先生の『スピリチュアリティの興隆』には、「二〇〇〇年を過ぎると、かつては「霊界」や「心霊」といった言葉で関心をもたれていたような領域にも「スピリチュアル」や「スピリチュアリティ」の語が入ってきて、流行語の様相を呈するようになる」(p.33)とある。江原さんの90年代の著作には、「スピリチュアリティ」ではなく、「心霊」という漢語が使われている。「スピリチュアリティ」流行語化のきっかけになったのが江原さんなのだけれど、島薗先生も指摘しているように、江原さんは英国に留学した人で、その「スピリチュアリティ」は英国のスピリチュアリズムの影響が強く、それまで使われていた「スピリチュアリティ」とは系譜を異にするものだった。なお、英国のスピリチュアリズムについては、作家の三浦清宏氏のレポート(『イギリスの霧の中へ』)があったかと思う。
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