呉音と漢音

小谷野敦氏曰く、


 ところで、高島俊男先生が、シナ人の姓の「呂」は「りょ」と読むのが正しいのに、「ろ」と読まれる、これは20年ほど前、台湾から来た野球選手・呂明賜を「ろめいし」と読んでからのことだ、あるいは「風呂」からの連想だ、と以前書いておられたが、明治時代に豊竹呂昇(ろしょう)とか呂大夫(ろだゆう)とかいう義太夫語りがいたし、『新潮日本人名辞典』では、朝鮮の独立運動家・呂運亨を「りょ・うんこう」→「ろ・うんきょう」にしている。別に呂明賜のせいではないようだ。
http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20070827
ロは呉音、リョは漢音。漢字の正しい音は漢音であるという考えは平安時代以来儒者を中心にあったようだ。司馬遼太郎も中国の人名地名は漢音で読むべしと書いていたと思う。呉音は主に佛教とともに伝承されてきたので、呉音は抹香臭いというイメージがあり、そのせいか、(プロテスタント系である)関西学院はカンサイとは読ませない。佛教と呉音といえば、日蓮正宗の総本山である大石寺をタイシャクジと読んで、恥を掻いたことがある。大石寺の由来は、日蓮の弟子であった日興が身延山を出て、現在の富士宮の大石が原に移ったことによるが、何故オオイシがタイシャクではなくタイセキになったかはわからぬ。
「呂」に戻ると、この字は日本語でリョと読ませる例は殆ど知らない。風呂のほかには呂律、語呂、苗字としては野呂や勝呂。呂律は本来はリョリツだが、それがロレツと訛って伝わっているというのも日本語の特性か。