伝統藝だった?

承前*1

『Sports Watch』の記事;


横綱日馬富士の暴行騒動 ビール瓶殴打は「悪しき伝統」だった

2017年11月15日 10時26分 Sports Watch


横綱日馬富士によるビール瓶殴打事件で思い出されるのは、2007年に起きた時津風部屋力士の暴行死事件です。当時17歳の少年が、部屋の師匠である当時の時津風親方(元小結・双津竜)らによってビール瓶で殴るなどの暴行を受け、死亡した事件です。この件により、当時の親方は解雇され、のちに有罪判決を受けています。

その事件の際には、角界の関係者から驚くべき証言がなされました。2007年10月20日に放映されたテレビ朝日の人気番組「朝まで生テレビ」にて、「激論!国技・大相撲に未来はあるか?!」と題された特集が組まれ、同番組に出演したタレントの龍虎さん(元小結/故人)は以下のように語っていました。

「ここ(額)は強いんですよ」

「だからここ(額)をバカーンとやっても大丈夫」

「我々の時代は、リンチの場合はビール瓶でやれと(言われた)」

「そのリンチを耐えて伸びた一握りの人が(強くなる)」

この特集では、角界での厳しい指導の行き過ぎについて討論がなされていました。角界の伝統である「かわいがり」という名の師匠・先輩力士からの厳しい技術指導と、土俵外での「リンチ」との区別がつきづらく、部屋という閉鎖空間で行なわれる「かわいがり」は「リンチ」なのではないかという討論です。

その際に龍虎さんは前述のようなコメントをしながら、どちらも指導的な意味合いを持つものであるが「土俵の上で行なわれるのはかわいがりであり、土俵の外で行なわれるものはリンチである」と、持論をまとめました。そうした指導においては、ビール瓶で「バンバンやりますよ」と申し添えて。

一部報道では日馬富士が殴打に至る前に、貴ノ岩の生活態度を注意するなどしていたといいます。説教中の怒りがビール瓶での殴打に結びついたのだとすれば、まさに角界の「悪しき伝統作法」が再び現代に甦ったといえるものでしょう。

伝統的に行なわれていたことが、今もなお引きつづき行なわれているからこそ、「よくある話」として殴打から発覚までの時間がこれほどかかったのではないか。そのような世間の疑いを払拭するには、日馬富士への処分だけでは不十分と言えるのではないでしょうか。日本相撲協会は本件の調査に留まらず、今一度角界全体の引き締めを図る必要がありそうです。

(文=フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/
http://news.livedoor.com/article/detail/13892882/

龍虎*2がそんなことを言っていたのか。
記事のタイトルだけメモ;


スポーツニッポン「日馬大暴れ 仲裁の白鵬突き飛ばす、酒癖悪さ有名 照も食らう」http://news.livedoor.com/article/detail/13892017/
デイリースポーツ「日馬酒乱暴行、引退勧告も スマホに激高!止めに入った白鵬も突き飛ばす」http://news.livedoor.com/article/detail/13891619/
片岡亮*3「ビール瓶暴行の横綱日馬富士“酒乱”証言続々──西川史子「銀座泥酔騒動」との関係も」http://news.livedoor.com/article/detail/13896184/
大渕英輔「日馬の暴行問題 協会内には秋巡業中から噂 しらを切り通すつもりだったのか」(スポニチhttp://news.livedoor.com/article/detail/13892498/
「NHK実況アナ 日馬休場を「暴行問題」と説明、どよめく館内」https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2017/11/15/kiji/20171114s00005000442000c.html
日刊スポーツ「堀尾アナ日馬富士は酒で「相当、性格変わる印象」」http://news.livedoor.com/article/detail/13892659/
日馬富士の暴行疑惑でやくみつるさん「ビール瓶で殴ったことが事実なら引退に値する」」http://www.huffingtonpost.jp/2017/11/14/yaku-mitsuru_a_23277499/ *4
スポーツ報知「立川志らく、「引退じゃなくて解雇」暴行事件の日馬富士に言及」http://news.livedoor.com/article/detail/13893264/


中田敦彦の発言を伝える『デイリースポーツ』の記事は全文コピペしておく;


オリラジ中田、暴力問題は「お笑い界でもちょくちょく聞く」

2017年11月15日 10時35分 デイリースポーツ



 お笑いコンビ・オリエンタルラジオ中田敦彦が15日、TBS系「ビビット」で、日馬富士の暴行問題について「先輩後輩の礼儀に端を発する暴力問題ってお笑い界でもちょくちょく聞く」と、中田が属するお笑い界でもあると語った。

 14日に明るみになった日馬富士の暴行問題は、素手で20発も殴ったりビール瓶でも殴ったなど、暴力の凄まじさが浮き彫りになっている。舞台となったのはモンゴル出身力士が集まるモンゴル会。日馬富士がしゃべっている時に後輩の貴ノ岩スマホをいじっていたため激高したとも報じられている。

 コメントを求められた中田は「(モンゴル会のような)そういう会はお笑い界にもありますし。出身地とかで」と語り「でも、先輩後輩の礼儀に端を発する暴力問題って、お笑い界でもちょくちょく聞くんです。この程度ではないですけど」と、程度の差こそあれ、お笑い界でも先輩が後輩に暴力を振るうことはあると語った。

 そして「成功している先輩が暴力行為を含めて教育的指導の一部と考えている人がいると、かなり表沙汰にならない」とも語り、貴ノ岩の師匠の貴乃花親方が被害届を警察に提出したことにも「それもたまって、(貴乃花親方は)思い切ったのかなと。(暴行問題は)なかなか表沙汰にならないから」と持論を展開していた。
http://news.livedoor.com/article/detail/13892987/

今回の事件と2007年の「時津風部屋」事件との違いは、暴力が「時津風部屋」事件の場合だと「部屋」の中で起こったのに対して、今回の日馬富士事件の場合は「伊勢ケ浜」とか「貴乃花」といった「部屋」の外で起こった。前回がDVというかドメスティック・ヴァイオレンスだったのに対して、今回の場合は息子が家を抜け出してヤンキー集会に出かけてリンチ事件をやらかしたという感じ。「部屋}(家)の中だったら、「親方」(父親)の監視も或る程度有効なのかも知れないけれど、外に出てしまえば、手も足も出ない。
「お笑い界」でも暴力は師匠/弟子というフォーマルな関係ではなく、先輩/後輩というインフォーマルな関係において生起しているのね。藝人というと、『タイガー&ドラゴン*5のように師匠とおかみさんを中心に内弟子たちが疑似家族的な共同生活を送っているというイメージが(少なくとも俺にとっては)未だにあるわけだけれど、既に師弟関係それ自体が過去のものになっているわけだ。そこで、先輩/後輩というインフォーマルな関係が突出してくる?
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「竹島」にて

日韓問題のそれではない。

安藤健二「島に1人しかいない郵便局員が消える。鹿児島県・竹島の住民「起きるべくして起こった」 (UPDATE)」http://www.huffingtonpost.jp/2017/11/10/takeshima-post_a_23272849/


曰く、


鹿児島港からフェリーで3時間かかる離島「竹島」。鹿児島県三島村*1に属している。過疎化が進み、人口は約80人。一般銀行もコンビニもなく、ATMも皆無だ。郵便局の「ゆうちょ銀行」は、島で唯一の金融機関である。

その唯一の郵便局から、たった1人しかいない郵便局員がいなくなった。郵便局は一時閉鎖に追いやられた。ある島民は、ハフポスト日本版の取材に、ため息をつきながら「起きるべくして起こった事態」と語った。


朝日新聞デジタルによると竹島簡易郵便局は、もともとは鹿児島中央郵便局の分室だったが、7月に日本郵便から業務委託された簡易郵便局になった。それに伴って日本郵便の職員ではなく、島外出身の男性(31)が村の嘱託職員として窓口業務を担うことになった。

職員は10月27日に「実家に帰ります」として数日間の休暇を取った後、連絡が取れなくなった。三島村は郵便局を11月6日から10日まで休業。代わりの嘱託職員を村内の黒島から派遣し、13日から12月中旬までは月、火曜日だけの営業として、新しい嘱託職員の募集を始めた*2

本人の性格と業務の過酷さ、2つの要因が重なり合って、今回の失踪事件は起こったようだ。
ところで、これを契機に島のキャッシュレス化が一気に進むということはないのだろうか。ATMにしても郵便局の窓口にしても、定期的にキャッシュ(日本銀行券)を搬入(搬出)する必要がある。オンライン化してしまえば、そうした搬入(搬出)は必要なくなる。
吐噶喇列島の一部。「竹島」という島名の由来はこの島が琉球竹に覆われていることによる。果たして、韓国人が「独島」と呼ぶ「竹島」の方には「竹」はあるのだろうか。
Wikipediaに曰く、

竹島」の名が示すとおり、島全体をリュウキュウチク(琉球竹)が占め、その他は黒牛の放牧地として牧草が植えられている。
リュウキュウチクの竹林の中では、ハルザキヤツシロランをはじめとするラン科植物数種の生息が確認されている。なかでもトカラヤツシロランは2002年に、タケシマヤツシロランは2013年に発見された新種で、いずれも竹島のみに生息している固有種である。さらに、 タケシマヤツシロランに至っては、光合成も開花も行わないという、発見当時はラン科植物として世界で2例しか発見のないきわめて珍しい種となっていた。その後2014年にヌカヅキヤツシロランが発見されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9%E5%B3%B6_(%E9%B9%BF%E5%85%90%E5%B3%B6%E7%9C%8C)
また、

安藤健二「「キセキのタケノコ」で故郷を救え。人口80人の離島に帰った山粼晋作さんの思い」http://www.huffingtonpost.jp/2016/10/10/shinsaku-yamazaki_n_12426452.html


曰く、


竹島という離島がある。といっても、韓国と領有権を巡って係争中の島根県の島ではない。鹿児島港から村営フェリーで3時間ほど先にある鹿児島県三島村の「竹島」だ。島全体がリュウキュウチクという竹で覆われていることからこの名前がついた。人口は2016年10月現在で82人*3。50年前に比べて半減しており、過疎化が深刻だ。

島には高校がない。若者の多くは中学卒業と同時に島を出て、鹿児島県内の高校に通う。多くは、そのまま戻ってこない。そんな中、鹿児島市内のIT企業に勤めていた山粼晋作さん(33)は2014年4月、脱サラして生まれ育った竹島に戻った。妻と1歳半の息子のため、島名産のリュウキュウチク(大名筍)を「キセキのタケノコ」*4としてブランド化を目指している。

PMS/PMDDなど

田中ひかる*1「生理を理由に、無実の女性が殺人犯に仕立て上げられ、死刑判決を受けた「甲山事件」」http://wezz-y.com/archives/50680


曰く、


月経(生理)のある女性の大多数が経験している月経前症候群PMS)。

 PMSには頭痛、腹痛、浮腫みといった身体的な症状のほかに、不安感、憂鬱などの精神的な症状も見られる。日本では精神症状の方が注目されがちで、「暴言を吐く」「暴力を振るう」「集中力を欠き仕事ができなくなる」といったことまでが、PMSの症状としてカウントされている。しかし、精神科のカテゴリーでは、日常生活にまで支障をきたすような症状はPMSではなく、月経前不快気分障害PMDD)という別の概念で捉えられるようになってきており、治療法も確立しつつある。

 いまだほとんどのメディアが、多くの女性に見られるPMSと、重篤な精神症状が現れるPMDDを混同して伝えているのだが、月経と精神不調を安易に結びつけることは、女性はもちろん社会に対しても不利益をもたらす。

後半では、「甲山事件」という冤罪事件*2が取り上げられている。無実の女性が殺人の嫌疑をかけられた主な根拠は、彼女が「たまたま事件の日に月経が始まった」ことだった。


田中ひかるPMS月経前症候群)と日本人の不幸な出会い」http://wezz-y.com/archives/50478


曰く、


日本では、明治時代に「血穢(出産や月経の穢れ)」に基づく慣習(物忌みや月経小屋など)が法令で廃止されると同時に、西洋医学に基づいた月経観が移入された。それは、“女性は月経があるがゆえに脆弱で不安定だ”という考え方で、女性の犯罪や自殺も月経時に多いとされていた。

こうした月経観は、大正時代なかばには、医療関係者のみならず、女子教育や犯罪論を介して、ある程度世間に認知されていた。

 例えば、著名な精神科の医師が上流階級の女性たちを前にした講演会で、「三越あるいは白木屋等において比較的教育ある婦人あるいは相当の位置を有する奥様または令嬢方が万引をすることがあるということを時々耳にいたすが、これは自殺者の場合と同様、月経時に内部的精神に多少影響をこうむり、少しの刺激にも感じやすき状態に置かれておるところに、外部的刺激すなわち美しき着物、装飾品、化粧品等を見て一層動かされ、この内外の原因によっておぞましき万引なる犯罪をあえてなすにいたるのだと思う。このほか、夫婦間の不和喧嘩、窃盗、殺人罪中詳細に調べたなら、おそらく月経と関係を有する場合が多いことと思う」と述べている。

 こうした専門家たちの見解をもとに、女性の犯罪や自殺は月経と関連づけられた。1919年に島村抱月の後を追った女優松井須磨子の自殺も、月経によるものと解釈されている。当然ながら、女性が犯罪を犯した場合は、司法精神鑑定で必ず「犯行時の月経状態」が聴取され、月経中であったと主張すれば、かなりの確率で罪が減免されていた。

 戦後になっても、女性の犯罪を月経で解釈しようとする傾向はなくならず、特に精神医学者の広瀬勝世は、「月経と犯罪の関連性」についての研究に力を注いだ。そして、その研究の過程で紹介したのがPMSだった。

「月経と犯罪の関連性」についての言説は完全に過去のものになってしまったわけではない;

今も月経と犯罪の関連性について説く専門書が存在する。かつて「月経中」と書かれていたところが「月経前」に変わっているだけであったり、いまだに「月経中」と書かれていたりするものもある。情報番組で、女性被疑者や女性被告人について語る際、月経との関連性に言及するコメンテーターもいて、恐ろしい限りである。
(「生理を理由に、無実の女性が殺人犯に仕立て上げられ、死刑判決を受けた「甲山事件」」)
See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131221/1387632716

エリートが好き?

畠山勝太*1「日本人は「エリート」が好き? 衆議院選の結果から見る、女子教育の拡充がジェンダーギャップ指数の改善に欠かせない理由」http://wezz-y.com/archives/50669


上掲のテクストの主要な論点からは外れるのだが。政治家と学歴を巡って。


先月実施された衆議院選挙で議席を獲得した465名の教育水準(学校歴・学歴)を調べてみました。

 465名の衆議院議員の学校歴は、東京大学または京都大学から学士号を取得した者が112名おり、衆議院議員の約1/4がこれらの大学の出身者です。そして、早稲田大学慶應義塾大学旧帝国大学のいずれかから学士号を取得した者が120名に上ります。つまり、人口の僅か数%にも満たないこれらのトップスクール卒業生だけで、衆議院議席の半数が占められていることになります。

 この傾向は比較的政党間でも安定しており、自民党で半数、立憲民主党で約42%、希望の党で72%の衆議院議員がこれらのトップスクールの卒業生となっていました。その他の大学については括り方が難しいので具体的な数値には踏み込みませんが、残りの半数の衆議院議員についても、かなり名の知れた大学(例えば、神戸大・一橋大・上智大など) の卒業生が多い印象を受けました。

 次に学歴をみると、衆議院議員のうち、最終学歴が大卒未満(大学中退もここに含まれます)の者はわずか20名(約4%)しかいませんでした。日本の25-64歳に占める非大卒者の割合が約半数であることを考えると、衆議院議員が国民全体と比べてかなり高学歴であることが読み取れます。この傾向は大学院にも当てはまり、衆議院議員の134名、つまり約30%は大学院の修了者となっています。また、海外で学位を取得した者も67名いました(元官僚の議員が、税金で留学する「官費留学」で海外の修士号を取得しているケースも少なくないので、やや割り引いて考える必要はあるかもしれません)。

 これらの数値から、有権者は学校歴も学歴もかなり高い人達に一票を投じており、日本の有権者はかなりエリート好みであることが読み取れます。

「日本の有権者はかなりエリート好みである」というなら、国際的な比較データも示してほしいよね。例えば、米国の連邦下院議員におけるアイヴィ・リーグ出身者の割合とか、英国の庶民院議員におけるオックスブリッジ出身者の割合とか。
さて、


畠山勝太「日本のトップスクールが男女不平等を拡大させているという罪」http://wezz-y.com/archives/37345


「日本のトップスクール」(「旧帝国大学」)における女子学生の比率が驚くほど低いということ。女子学生が30%を超えているのは大阪大学名古屋大学だけ。

塩見死す

時事通信の記事;


 元赤軍派議長塩見さん死去=よど号ハイジャックで服役 時事通信社 2017年11月15日 11時54分 (2017年11月15日 12時42分 更新)


 元赤軍派議長の塩見孝也さん*1が死去したことが15日、関係者への取材で分かった。76歳だった。14日夜に東京都内の病院で死亡したという。
 塩見さんは連合赤軍の母体となった共産主義者同盟赤軍派の元議長で、1970年のよど号ハイジャック事件*2を計画したとして実刑判決を受け、服役した。 
https://www.excite.co.jp/News/society_g/20171115/Jiji_20171115X868.html

拙blogを検索してみたけれど、塩見さんに関する言及は全然なかった。自分で自分に吃驚した。
雨宮処凛さん*3の文章をマークしておく;


「「獄中二十年」の選挙戦。の巻」http://blogos.com/article/111206/


2015年4月に東京の清瀬市市議会議員選挙に立候補して、落選したときのこと。
さて、実は塩見さんはマイミクさんだったのだ。塩見さんからマイミク申請が来たときは少し驚いたけれど、何故私にマイミク申請をしたのかは伺っていなかった。
時事通信のベタ記事に戻ると、「なぜこの黒い奴に「さん」付けするんだ?!直接/間接問わずこいつのせいでどれだけの人が犠牲になったのか知らんのか?」、「時事通信社反日、これで赤軍関連の会社だという事がわかるね、恐らく公安もマークしてるだろ、朝日新聞と同じように公認マークすべき」という匿名のコメントが2つ。ドジンの思考は難解ではある。