「保存」へ

承前*1

世田谷線百年の歴史を軸に世田谷城から、赤堤、松沢にかけての歴史と地域の記憶を辿る」『ひと・まち・自然』(一般財団法人世田谷トラストまちづくり*2 )19、pp.9-12、2021


世田谷区豪徳寺にある尾崎行雄故居について;


豪徳寺の山門のちょうど真裏まで歩いたら北上する形で路地に入ると、閑静な住宅街の中に鮮やかな水色の洋館が見えてくる。華美すぎず可愛らしい雰囲気をまとうこの洋館は、明治中期に高級官僚が英国出身の娘(のちに政治家・尾崎行雄の妻)のために建てたとされ、東京に現存する居住用の洋館としては最古級とも言われている。1933年(昭和8年)に港区麻布から英文学者によりこの地に移築された。一時解体の危機に瀕したが漫画家・山下和美氏が中心となり保存活動を展開、漫画家・新田たつお・笹生那美夫妻の協力もあり保存されることに。今後はクラウドファンディングなどで補修費用を募り、カフェやギャラリーとしての活用を検討している。(p.11)
また、『毎日新聞』の記事;

尾崎行雄ゆかりの洋館保存でクラウドファンディング開始
3/31(水) 18:46配信


毎日新聞

 「憲政の神様」と呼ばれた尾崎行雄(1858~1954年)ゆかりの洋館(東京都世田谷区豪徳寺)を保存しようと、漫画家の山下和美さんらが洋館を修繕するためのクラウドファンディング(CF)を始めた。傷んだ場所の補修のため1234万円を集めることが目標だ。詳しくは(https://motion-gallery.net/projects/Ozakitei)。

 募集期間は7月28日まで。3000~100万円のコースがあり、リターン(返礼)として、オリジナルのトートバッグや山下さんが直筆で書いた掛け軸などをイラスト付き感謝状と共に送る。全体の修繕には1億円以上の費用がかかる見込みだが、水回りや電気系統などを最優先で補修する。

 尾崎は衆院選に連続25回当選し、議会政治の確立に尽力したとされる。洋館はもともと港区麻布にあった。尾崎が英国人の母を持つ再婚相手のために建てたと言い伝えられていたが、その後の調査で再婚相手の父親が建てた可能性が高いことが分かった。1888(明治21)年に建設されたとみられ、洋館としては都内でも最古級という。その後、尾崎の知人の英文学者が譲り受け、1933年に現在の場所へ移築した。

 昨年には住宅メーカーが解体工事を始めることが判明。山下さんらが保存運動を展開し、別の漫画家の資金提供や町内会の協力もあり、昨年11月に買い取りに成功した。

 洋館は木造2階建て、青い塗装の外観が特徴的。来年秋には洋館内に飲食店もオープンする予定という。山下さんは「解体を免れることができたが、ストーリーはまだ終わっていない。次の世代にこの館を美しい形で残すため力を貸してください」と呼びかけている。【井川諒太郎】
https://news.yahoo.co.jp/articles/09dd9d2ff123d7a9ee7f1f043926ca5cde79d255