「ロスジェネ」の悲劇?

承前*1

山本一郎*2「追悼・Hagex 「来週飲みに行く約束はどうなったんだよ」 「40代だけ給与減」について書いていたら飛び込んできた41歳の訃報」http://blogos.com/article/307556/?p=1


Hagex殺しを山本氏は「ロスジェネ」問題*3に落とし込んでいる。


これから新しい仕事を始めるために世に出ようと活動を広げていたHagexさんが、頭脳も才能も恐らくあるけど世に受け入れられず自宅で悶々とはてな民を煽り続けてきた40代無職に殺されるとか、理不尽に社会の歪みを押し付けられたロスジェネ世代の40代が、ロスジェネ世代の40代を殺すとか、不幸すぎる。Hagexおい何で無断で死んでるねん。来週飲みに行く予定はどうなったんだよ。

 政府が悪いとか社会が悪いとか親世代が悪いとか能力がないのが悪いとか、誰かのせいにしてどうにかなる問題ではありません。私らの世代は、やはり人口の多かった団塊の世代による猛烈なベビーブームと、バブル景気が弾けて終わった夢のあとの反動による景気低迷という避けがたい日本社会の「裂け谷」で重い荷物を背負わされた、理不尽を受け入れて生きる世代なんですよ。

上には年老いた親があり、下には腹をすかせた育ち盛りの子供がいる。社会からは結婚しろ子供を産め育めと求められ、稼ぎが少ないと罵倒され、親の介護をして一人前と押し付けられ、独り身は孤独死に怯えながらその後の人生を歩んでいかなければならない。キャリアを積んで稼げる能力を身に着けられる時期は景気が悪くてフリーター当たり前の時代を生き抜いても、より深い谷に落ち込んでいくのが宿命づけられていたわけですよ。

ところで、「低能先生」が「九州大学中退後自宅警備員をされていた」ということなのだけど、実際のところ、「中退」ではなくちゃんと卒業していて、一旦はどっかの会社に就職していたのでは? と思ったのだけど、それはともかくとして、山本氏自身も属す「ロスジェネ」の自己認識は無視すべきではないだろう;

 私が卒業した96年は、ピカピカの奴らは都市銀行や製造業、広告代理店など当時の花形産業に就職していったのですが、これらの大企業は出世が大抵「年次で決まる」文化なので先の見える奴らほどさっさと銀行など大企業に見切りをつけ、ベンチャー企業を立ち上げたり留学してコンサルになったりと脱社畜になっていきました。

なんせ、会社は人員削減でスリムになる、しかししなければならない仕事の総量は変わらないというリストラの時期は人件費を浮かすために猛烈に働かせられ、30代後半になってみると給料が一番上がるはずの管理職は少なくなった人員のお陰で減る一方……。そりゃあ給料なんて上がりませんって。会社にしがみつこうとするほど、会社はブラックでもこいつら辞めないのだな、ならこき使ってやろう、ってなるのは世の摂理であり、当たり前の企業行動だってことでありましょう。

 世間では、私らの世代から2005年ごろまでの就職氷河期に社会に出た人間は「ロストジェネレーション世代」としばらくの間言われていましたが、いま2018年、ここらがガッツリ40代なわけです。あははははは、わたし45さーーーい。知能が低いので対抗できませーん。ここの人口ボリュームゾーンが給料低いクソ世代だ、お前らはニッポンのお荷物なんだぞバーカって内閣府に言われているのが現状です。辛い。

 何しろ給料が低いだけでなく将来に展望が見えないこともあり、結婚できない人の割合が増え始めたのもいまの40代、当然子供もできなくて日本の出生率減少の原因になってるのも40代、人ばっか多い年代のくせに本当に役に立たないな、お前らなんかにロスジェネとは呼ばせない、せいぜい「ホリエモン世代」ぐらいに自称しとけ馬鹿とレッテルはられ士気がダダ下がりなのです。