誘拐されない日本人

疑似科学入門 (岩波新書)

疑似科学入門 (岩波新書)

池内了疑似科学入門』からメモ。


また、アメリカでもUFOは大人気であるが、日本と異なるのはUFOに誘拐されたと自称する人が多く存在することである。UFO体験を本当らしく見せるために始まったものが、やがて現実と夢想の区別ができなくなり、自ら信じ込んでしまうのである。そして、それに追随する人が続出し、その経験談まことしやかに話し、幅広く宣伝されて脚光を浴びるらしい。UFO信者がいかに多いかを象徴しているとも言える。
日本ではUFO誘拐説は耳にしたことがない。UFOを目撃したと自称する人は多いが、半信半疑なので、他人に話す場合も冗談めかしてしまう。個人の楽しみに終始していて、本格的なUFO信者は少ないのかもしれない。「かぐや姫物語」にもあるように、伝統的に宇宙人に対する敵対的発想が少ないこともあるだろう。UFOへの態度にもお国柄が反映しているのである。(p.16)
UFOによる誘拐、それはモルダーのアイデンティティに関わる、それ故に『Xファイル』*1の物語の存立に関わる根本的なトラウマなのだった。たしかに、日本ではUFOに拉致されたという話は殆ど聞かない。というか、「目撃」談はあっても「第三種接近遭遇」話は殆どないというべきか。米国でも決して多いものではないだろうけど。この日米差については、米国には天狗がいないからだと言っておこうか。また、UFO信仰或いはUFO陰謀理論に関しては、Michael Barkun A Culture of Conspiracy、Curtis Peebles『人類はなぜUFOと遭遇するのか 』を、またDavid M. Jacobs (ed.) UFOs & Abductions: Challenging the Border of Knowledgeをマークしておく。
A Culture of Conspiracy: Apocalyptic Visions in Contemporary America (Comparative Studies in Religion and Society)

A Culture of Conspiracy: Apocalyptic Visions in Contemporary America (Comparative Studies in Religion and Society)

人類はなぜUFOと遭遇するのか (文春文庫)

人類はなぜUFOと遭遇するのか (文春文庫)

Ufos and Abductions: Challenging the Borders of Knowledge

Ufos and Abductions: Challenging the Borders of Knowledge