確信犯だったようだ

承前*1

相模原市障碍者虐殺事件、自覚的なヘイト・クライムだったようだ。
NHKの報道;


逮捕の男 衆議院議長宛てに手紙 入所者の殺害を示唆

7月26日 12時06分


逮捕された植松聖容疑者(26)は、ことし2月、東京・千代田区にある衆議院議長の公邸を訪れ、事件を起こした「津久井やまゆり園」を標的にすると名指しして、入所者の殺害を示唆する手紙を渡そうとしていたことが捜査関係者などへの取材で分かりました。

捜査関係者などによりますと、植松容疑者はことしの2月14日、東京・千代田区にある衆議院議長の公邸を訪れ、警備に当たっていた警察官に「議長に手紙を渡したい」と申し出ました。警察官は手紙を受け取りませんでしたが、植松容疑者が翌日の15日も再び訪れたため、衆議院事務局に確認したうえで手紙を受け取ったということです。

手紙は、A4の大きさのレポート用紙3枚に手書きで書かれていて、はじめに「私は障害者総勢470名を抹殺することができます」と書き出し、「保護者の疲れ切った表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳、日本国と世界の為と思い、居ても立っても居られずに本日行動に移した次第であります」と記載されています。

そのうえで、「私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」とか「障害者は不幸を作ることしかできません」などと書かれています。

そして「作戦内容」として「職員の少ない夜勤に決行致します」としたうえで、事件を起こした「津久井やまゆり園」など2つの施設を標的にすると名指しして、「見守り職員は結束バンドで身動き、外部との連絡を取れなくします。職員は絶対に傷つけず、速やかに作戦を実行します」などと今回の手口が具体的に書かれています。

さらに事件後の行動についても「2つの園260名を抹殺した後は自首します」などとしています。
警視庁は15日のうちに、住所がある地域を管轄している神奈川県警の津久井警察署に情報提供したということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160726/k10010609141000.html

その「手紙」の全文は


http://mainichi.jp/articles/20160727/k00/00m/040/020000c


問題は周囲が危険な植松聖を取り敢えず精神病院にでも閉じ込めておけという姑息とでもいえる措置を採ったことだろうか*2。医学的にも無理があったので、直ぐに退院ということになって、凶行に至ったわけだ。植松聖のプロフィールについては既に色々な報道がなされている。ただ、どのような経緯で、またどのような社会関係において、植松が差別思想に填まっていったのかは明らかではないようだ。正直言って、植松が「手紙」で表明したような考えはそれほど突飛なものだとは思わなかった。さすがにblogのようなオープンな環境ではレアだろうけど、例えばMixi日記のようなクローズドな環境では、障碍者を抹殺しろ! というような言説には屡々出くわす。
See also


「教員志望、礼儀正しいと評判も…衆院議長へ「まとまりのない」手紙」http://www.sponichi.co.jp/society/news/2016/07/26/kiji/K20160726013039540.html
「「突然、差別するようになった」=襲撃施設園長、知事と面会−相模原事件」http://www.jiji.com/jc/article?k=2016072600690&g=soc
垂水友里香、杉直樹、木下翔太郎、遠藤大志、杉本修作、松浦吉剛「相模原殺傷 「殺害」口走る容疑者 注意しても聞き入れず」http://mainichi.jp/articles/20160727/k00/00m/040/124000c


また、NHK曰く、


障害者施設殺傷 知的障害者と家族の団体が緊急声明

7月26日 20時52分


相模原市の障害者施設に刃物を持った男が侵入して入所者などが刺されて死亡した事件を受けて、知的障害のある人と家族で作る「全国手をつなぐ育成会連合会」は、26日夜、緊急の声明を出しました。

この中で事件について、「抵抗できない障害のある人に次々と襲いかかり、死傷させる残忍な行為で、到底許すことはできません。事件は、多くの障害のある方や家族を不安に陥れ、深く大きな傷を負わせました。このような事件が二度と起きないよう、事件の原因や背景を徹底的に調査・究明し、深く議論をして今後の教訓にしてください」と、再発防止を徹底するよう求めています。
そのうえで、「容疑者は、障害のある人の命や尊厳を否定するような供述をしていると伝えられていますが、どのような障害があっても一人一人は命を大切に、懸命に生きています。事件で無残にも奪われた一つ一つの命は、かけがえのない存在でした。国民の皆様には、今回の事件を機に、障害のある人一人一人の命の重さに思いをはせるとともに、障害の有る無しで特別視することなく、お互いに人格と個性を尊重しながら共生する社会に向けて共に歩んでいただきますよう心よりお願い申し上げます」と訴えています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160726/k10010609921000.html