火星人たち

包茎」にはユダヤ文化の関連で言及しているくらいなのだった*1
先週の『朝日新聞』の記事;


包茎手術でトラブル続発 高額施術・大量出血・壊死…

2016年6月23日19時09分

 国民生活センターは23日、包茎手術について、不安をあおられ高額な施術を強引に勧められたり、手術後に痛みが続いたりするなどの相談が相次いでいると注意を呼びかけた。

 全国の消費生活センターなどが受けた包茎手術に関する相談は2011年度から15年度の5年間で1092件あり、10〜30代からの相談が大半を占める。

 相談内容として、広告で手術費用が5万〜10万円と掲載されていたのに、病院で「安い手術だと汚い仕上がりになる」などと説明され、50万〜100万円以上の高額な施術を勧められ、その日のうちに契約し、手術してしまった、といった例が目立つという。

 手術によって痛みや腫れのほか、大量に出血したり、組織が壊死(えし)したりしたという術後をめぐる相談もあった。センターは過去に手術を受けた150人にもアンケートし、約4割が施術後に何らかの不安や不満、不具合を感じていると回答した。

 センターは「医学上緊急性がない場合には即日施術は避けるべき」と強調。さらに、国の指針に反して広告で安さを前面に出したり、術前術後の写真を掲載したりする医療機関を選ばないよう勧めている。

 また、「悩んでいる時は泌尿器科か形成外科の診察を受け、医者がきちんと説明してくれたか、内容や金額に納得できたか、検討したうえで手術日を予約しましょう」との医師のコメントを紹介し、注意を促している。詳しい内容は、センターの公表資料(http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20160623_2.pdf別ウインドウで開きます)に掲載している。
(後略)
http://www.asahi.com/articles/ASJ6R56XTJ6RUCLV00K.html

国民生活センターの報告は要旨がhtmlで読める;


「美容医療サービスにみる包茎手術の問題点」http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160623_2.html


また、


山中一生「出血、壊死…「包茎手術トラブル」に恐怖する男性続出」http://r25.jp/life/00051339/


も参照されたい。
ここで問題になっているのは、仮性包茎だろう。真性包茎の場合は保険の対象となるので、このような金銭トラブルが起きることはない。包茎に対するネガティヴなイメージを煽るというのは昔からあるのではないか。今でも多くの男性が自らの性器に対するネガティヴなイメージを内面化して、(例えば)自分が非モテ童貞なのは包茎のせいなんだと思い込んでいるのだろうか。そして、包茎さえ克服すれば、童貞も卒業できるし、セックスだけじゃなくて勉学や仕事の面でも輝くようになるという瑠璃色のヴィジョンが現れ、それに釣られて、上の記事にあるようなリスクの噂を承知しつつも、手術台に横たわり、自らの性器を医者に差し出すということになるのだろうか。でも、実際、多くの仮性包茎の人は普通にセックスを愉しんでいる筈なのだ。
勿論、包茎に対するネガティヴなイメージだけれど、たんに医療業界のプロパガンダの中にあるだけでなく、既に私たちの文化の中にあるといえるだろう。具体的には、身近な他者たちとの交渉を通じて、そのイメージを自分のものにしていく。医療業界はそれを増幅したり、科学的な箔をつけたりしているにすぎないだろう。ちょっと興味があるのは、包茎手術の動機のうちに、ピア・グループのプレッシャーというのがどれだけの位置を占めているのかということだ。友人集団との接触の中で、皮被ってるのは俺だけじゃないかと実感したり、実際はともかくとしてそう思い込んだりする。或いは、包茎ということで、露骨にいじめられたりする。勿論、ピア・グループというのはこうしたプレッシャーの素というだけでではなく、上のような包茎手術に関するリスク情報を伝達したり共有したりする通路としても機能しうるわけでけど。
包茎」については、


武田光正「包茎http://medical.yahoo.co.jp/katei/200315000/?disid=200315000
包茎https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%85%E8%8C%8E
包茎手術」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%85%E8%8C%8E%E6%89%8B%E8%A1%93


をマークしておく。Wikipediaはぼかしなしの性器の写真を含むので、そのつもりで。