『東奥日報』の記事;
安藤健二「「クマだと思い込んでしまった」 青森県南部町がタヌキに化かされる」も参照のこと*1。この記事は写真が大きい。
“子グマ”、実は子ダヌキだった…/青森・南部町Web東奥 6月27日(月)21時23分配信
子グマと思ったら、実は子ダヌキ−。青森県南部町で16日発見され、“子グマ”として一時的に保護されていた幼獣2頭について、町農林課は27日、クマではなくタヌキの子どもと分かったと発表した。同課によると、2頭は発見者の男性が預かっており、健康状態に問題はなく、時期をみて山に放すという。
2頭の幼獣は16日午前、同町下名久井の会社敷地内で発見された。これを子グマだと思った同課は“親グマ”を誘い出すため、同社敷地内に捕獲用おりを設置し、2頭を入れていた。だが、動物愛護の観点から翌17日、一時的に保護することにし、発見男性宅に預けていた。
同課は20日、引き取り先を探すため、日本動物園水族館協会に照会。同協会がホームページに幼獣の画像を掲載したところ、ある動物園から「クマではなく、タヌキではないか」との指摘が、同課に寄せられた。2頭の健康状態を確認した獣医からも同日、同様の指摘があったという。
その後、青森県が森林総合研究所東北支所(盛岡市)に鑑定を依頼したところ、「クマ」ではなく「タヌキ」と判明。27日、県から同課に連絡があった。
同課の東野成人課長は「この件では全国から多くの意見、助言があった。多くの方にご心配をかけ申し訳ない」と話した。
県自然保護課の担当者は「クマとタヌキの幼獣は区別しづらく、専門家以外は見分けがつきづらいようだ」と述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160627-27212328-webtoo-l02&pos=4
さて、狭義の熊(クマ科)ではないものの、クマと呼ばれる動物に穴熊や浣熊がいる。ジャイアント・パンダはあれこれと揉めた末に狭義の熊ということで落ち着いている。また穴熊と狸は混同されやすく、ともに貉と俗称されている。*2だから、狸の赤ん坊を熊の赤ん坊と誤認したというのは或る意味では理に適った間違いだということができる。「東京タヌキ探検隊!」によると、狸の赤ん坊は「全身真っ黒で、イヌの赤ちゃんやクマの赤ちゃんに間違われやすいです」という*3。決め手となるのは指の数だろう。狸はイヌ科なので、後ろ足が4本、前足が5本。クマ科の場合は前後とも5本*4。『ハフィントン・ポスト』の記事の写真を見ると、前が5本で後ろが4本だというのがはっきりわかるよ。
ところで、以前にも言及したが、タヌキは漢語では「狸猫」と呼ばれる。中国人はタヌキを猫の一種だと認識しているわけだ*5。『となりのトトロ』*6は中国語では「龍猫」で、やはり猫の一種だということになる。日本人は「トトロ」は実在の動物では何に近いと認識しているのだろうか。猫、熊、それとも狸?
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*1:http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/28/kodanuki_n_10709574.html
*2:See eg. 3taku「同じ穴のムジナ? タヌキとアナグマの違い」http://matome.naver.jp/odai/2139371003997662401
*3:http://tokyotanuki.jp/comparison.htm
*4:See 松本晶「指の数」http://www.rikabi.jp/essay/essay-01.htm
*5:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150420/1429549184 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160122/1453431194 英語ではlaccoon dog。こちらは動物学的に正しく犬の一種だと認識しているわけだ。
*6:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081201/1228127995 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090215/1234633284 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140712/1405165610 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141023/1414075027 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141208/1418014587