鷺ノ宮やよい*1「『ひょっこりひょうたん島』は死後の世界の物語だった!? 四国八十八ヶ所霊場のひとつ「南光坊」の住職にお話を聞いてみた!」http://youpouch.com/2015/12/16/322475/
曰く、
昔、NHKで放送されていた人形劇『ひょっこりひょうたん島』*2。個性ゆたかなキャラクターたちが冒険の物語を繰り広げる様子は当時の子どもたちを熱狂させ、1964年から約5年にかけて放送される大ヒット番組となりました。そんな『ひょっこりひょうたん島』ですが、これらはすべて「死後の世界の物語」なのではないかという説を先日知り、驚愕してしまった私(記者)。
登場人物たちは「全員死んだ者たち」だという隠された設定があり、劇中に「御詠歌」や「四国霊場物語」(四国八十八箇所)が出てくるのもそのためなのだとか。
うーん、そう考えるとあの「波をちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷかき分けて〜」というオープニング曲の歌詞も、なにやら意味ありげに聞こえてくるような……。希望に満ちた子どもらしい歌詞だと思って今まで歌ってきた私ですが、そのイメージがぜんぜん変わってきちゃいそう。
ということで、四国「第55番札所 別宮山 金剛院 南光坊」*4の板脇俊匡住職に話を聞くという趣向。まあ、井上ひさし*5はカトリックだったのだから、仏僧だけでなく神父さんにも話を聞くべきじゃないかと思うのだけど。それはともかくとして、仏教的な他界、しかも漂海ということならば、補陀落渡海*6が言及されるべきだろう。
四谷にあるお店「夜のお寺・坊主バー」の公式アカウント「@vowzbar_yotsuya」さんのツイート*3によると
ひょっこりひょうたん島は死後の世界の物語らしいです。御詠歌(霊場で歌われる巡礼歌)や「四国霊場」など死を連想させるものが劇中に出てきます。個人的に2枚目の歌詞の「何かがきっと待っている」は彼岸や極楽浄土等の事を言ってる気がします。とのこと。「ひょっこりひょうたん島は死後の世界の物語らしい」と書かれていますが、調べてみると実はこれ、原作者のひとりである井上ひさしさんがある講座内で明かしているとの情報も。一説によると、サンデー先生と5人の子供たちは、最初にひょうたん島に遠足に行った時点で火山の噴火に巻き込まれて死んだという設定があったのだとか。
その前提で歌詞を見ていくと、「何かがきっと待っている」は彼岸や極楽浄土等のことを言っているのではないかと@vowzbar_yotsuyaさんは推測されているわけですが……。
仏教を離れて、『ひょうたん島』について思いついたことを記す。物語をリセット(起動)する仕掛けとしての火山噴火。火山の噴火によって、サンデー先生や子どもたちは死んでしまい、「ひょうたん島」は海を漂い始める。興味深いことに、同じ井上ひさし/山元護久の『ネコジャラ市の11人』*7でも、火山噴火は物語をリセットする仕掛けとして機能している。それから、瓢箪のシンボリズムを考えなければならないんじゃないか。瓢箪というと、内部の空洞性が連想される。宇津保舟。 補陀落渡海に戻れば、それは琉球のニライカナイなどの非仏教系の海上他界とも響き合っている。
「ひょうたん島」で検索して出てきた最近のニュース。
『京都新聞』の記事;
「ひょうたん島」神社、再建めど 京都で最後のコンサート京都新聞 12月17日(木)11時58分配信
人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとして知られ、東日本大震災で被災した岩手県大槌町の蓬莱(ほうらい)島の神社再建を支援するため、京都市北区の平野神社が続けているコンサートが20日の開催で幕を下ろすことになった。再建にめどがついたためで、主催者は「再建に一定の貢献ができた。最後なのでぜひ参加を」と来場を呼び掛けている。
島にある蓬莱島弁天神社は、大震災の津波で鳥居が流され、社殿も破損した。祭神の弁天は現在、町内の別の神社に祭られているが、来年4月には島に戻ることになったという。
コンサートは、平野神社の尾崎保博宮司(68)が、かつて東北の神社で神職を務め、大槌町の職員にも知人がいたことから、ゆかりの地を支援しようと始まった。
2012年1月から毎月最終日曜に開き、尾崎宮司の妻でハープ奏者の山根ひろみさん(52)が出演。支援金として来場者から500円を受け取り、これまで約50万円を蓬莱島弁天神社に贈った。関西に避難している被災者が訪れたり、被災地支援を続ける人が集まったりするなど新たな交流も生まれている。
20日は午前11時から参集殿で、山根さんが後輩のフルート奏者とともに12曲を披露する予定。山根さんが自作した支援コンサートのテーマ曲「いのり」や、アニメ映画や「ひょっこりひょうたん島」の主題歌も奏でる。
(後略)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151217-00000016-kyt-soci
*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141215/1418611806
*2:See eg. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B2%E3%82%87%E3%81%A3%E3%81%93%E3%82%8A%E3%81%B2%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%9F%E3%82%93%E5%B3%B6
*3:https://twitter.com/vowzbar_yotsuya/status/670482574142103552
*4:See http://www.88shikokuhenro.jp/ehime/55nankobo/
*5:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070702/1183349034 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081025/1224880677 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100413/1271127313 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100728/1280252172 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20121212/1355270394 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150526/1432659066
*6:See eg. てつ「補陀落渡海(ふだらくとかい)」http://www.mikumano.net/keyword/fudaraku.html https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%9C%E9%99%80%E8%90%BD%E6%B8%A1%E6%B5%B7
*7:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%A9%E5%B8%82%E3%81%AE11%E4%BA%BA