自分探しにシリアへ?

承前*1

北海道新聞』の記事;


イスラム国参加準備の北大生、フリー記者に「人殺してみたい」「イスラムに興味ない」

(10/07 16:31、10/07 16:38 更新)


 シリアの過激派組織「イスラム国」に参加しようとして6日に警視庁公安部の事情聴取を受けた26歳の男子北大生=休学中=について、8月以降、この学生に会って話をしたことがあるフリージャーナリストの常岡浩介さん(45)=東京在住=は7日、北海道新聞の取材に対し「北大生は『人を殺してみたい』と言っていた」と証言した。

 常岡さんによると、北大生は理数系で、数カ月前に「学校も、家族も、携帯も捨ててシリアに行くために上京した」とされる。イスラム法学者の紹介で知り合った常岡さんの取材に対し、「日本社会のフィクション(虚構)が嫌になった。日本では人を殺すことは悪だが、イスラム国では正義になる。戦闘に参加して人を殺してみたい」などと話したという。

 ただ、「シリアに特に関心はない」「イスラムに興味はない」とも答えたといい、常岡さんは「北大生は自分の内面の問題を解決するために日本を離れたいと思ったようだが、本気でイスラム国の戦闘に加わるつもりだったかどうかは疑問を感じた」と話している。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/567255.html

また、『毎日』の記事;

シリア渡航計画:「日本での地位、価値ない」…周囲に動機

毎日新聞 2014年10月10日 07時20分(最終更新 10月10日 11時19分)


 イスラム過激派組織「イスラム国」の戦闘員になるため、北海道大学の男子学生(26)=休学中=がシリアへの渡航を計画した事件で、学生が「日本での社会的な地位などに価値を感じられなくなり、シリアに行きたいと思った」などと周囲に動機を説明していたことがわかった。警視庁公安部の事情聴取にも「就職活動に失敗した」と話しており、公安部は学生が社会で孤立感を深めていたとみて調べている。

 学生は今年8月、千葉県の男性(23)と一緒にシリアへの渡航を計画。フリージャーナリストの常岡浩介さん(45)が同行取材する予定だったが、知人の反対などで断念した。常岡さんによると、学生は東京・秋葉原古書店でシリアを勤務地とする求人広告を見たのが渡航を考えたきっかけだったと説明した。学生は「戦場など特異なものに興味がある。向こうに行けば違う発見があるかもしれない」と話し、シリアに居場所を求めるような発言をしたという。イスラム国に強く共鳴したわけではなく「自分が参画したことで何らかの政体(統治形態)ができ、それによって救われる命があれば結果オーライ。それくらいの気持ち」とも語ったという。「現地で生活基盤ができれば現地で生きていくが、日本に戻ってくることもあるかもしれない」とも話したという。【岸達也】
http://mainichi.jp/select/news/20141010k0000m040136000c.html

『毎日』はさらに実際にISISに身を投じ、現在日本に帰国中の人へのインタヴューを試みている;

シリア戦闘:元自衛官が参加「政治・思想的信念なし」

毎日新聞 2014年10月09日 11時36分(最終更新 10月10日 11時11分)


 イスラム過激派組織「イスラム国」には各国から戦闘員が集まっていることが知られているが、昨年5月、シリアで別のイスラム過激派組織に戦士として加わり、戦闘に参加した日本人男性がいたことが分かった。東京都大田区の元自衛官、鵜沢佳史(うざわよしふみ)さん(26)で、政府軍の装甲車の砲撃で砲弾片が両足を貫通する重傷を負うなどして、約2カ月後に帰国したという。

 鵜沢さんによると、昨年4月にシリア国境の町、アザズに独力で入った。中学卒業後に自衛隊に入隊、その後始めた有機野菜の訪問販売で成功していた時期だった。「生活には満足していたが、もう一歩突き抜けたいという思いがあった。政治や思想的な信条は全くなく、死と隣り合わせの戦士になれば見えるものがあると思った」と話す。

 現地入り後、「シリア人民のために戦いたい」と言って、過激派組織に加わった。イスラム教に改宗しないと戦えないと言われ、「ハムザ」という名をもらった。10カ国以上から計約250人が加わり、アジアからもインドネシア人が参加していたが、日本人はいなかったという。

 最初の約10日間は経典のコーランや礼拝作法を学び、5月にシリア北部のアレッポ中央刑務所の襲撃作戦に加わった。政治犯の解放が目的で、爆弾で破壊した刑務所の外壁からライフル銃など2丁を持ち、所内に突入したという。その際の銃撃戦で近くにいた仲間約10人の大半が死傷。自身は野戦病院を転々とした後、負傷した目の手術を受けるため帰国した。

 戦場を意識したきっかけは小学校のときのいじめで、自分の存在価値に悩んだ結果、「極限状況に身を置いて生きる意味を問いたい」と考えるようになったという。同い年の大学生がイスラム国に参加しようとしたとされ、警視庁公安部が捜査している事件については、「生きる意味が見つからず、戦場なら何かを見いだせると思ったのでは」と推し量った。【堀智行】
http://mainichi.jp/select/news/20141009k0000e040180000c.html

結局〈自分探し〉ってことですか*2。或いは、〈青年は荒野をめざす〉? また、「生きる意味」を見出せるような場所は日本国内にはなかったということか。自衛隊にも、或いは中核派の人民革命軍武装遊撃隊にも。もしかして、2011年ではなくて2014年だったのが悪いのだろうか。2011年だったら、態々シリアまで行かなくても福島や岩手に赴いてそれなりに生の充実を味合うことができたかも知れないのだ。これは、シリアの別の組織に身を投じた湯川遥菜氏*3にも共通することだ。実存的にはさらに切迫している筈だが。
青年は荒野をめざす (文春文庫)

青年は荒野をめざす (文春文庫)

 

「北大生支援の元教授インタビュー 公安の事情聴取を受けた中田考氏が語る「イスラム国」」http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141009-00010002-wedge-m_est&p=1 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141009-00010002-wedge-m_est&p=2


ISISに内在的な報告はとても興味深い。