九海は駄目、宗教的に

『読売』の記事;


忍野八海」でない私有池、本物以上のにぎわい


 世界文化遺産の構成資産として登録され、富士山麓の人気観光スポットとなった「忍野八海」だが、地元の山梨県忍野村に対し、「どこに八つの池があるのか分からない」といった不満の声が増えている。

 中には近くにある個人所有の池を、八海と勘違いして訪れる観光客も。村では八海の場所を分かりやすく示した地図を作成し、9月末から配布を始めるなど、観光客への周知に尽力している。

 忍野八海はかつて富士講信者が巡った霊場で、富士登山の前に八つの湖や池で修行したとされる。現在は多くのバスが訪れる観光地となり、6月の富士山の世界遺産登録後はさらに関心が高まっているが、ツアー客はお土産店などがある中心部に集まり、周辺部にある池は比較的知られていないという。

 中心部では、個人所有の池を八海と勘違いする人もいる。池は50年程前に整備されたといい、水源は忍野八海と同じ。約7メートル下の底まで見通せる透明度の高い水と美しい風景で、八海以上のにぎわいを見せる。しかし、村には「帰ってから八海ではないと知った。看板を設置するなど分かりやすくして」という苦情も入っている。

 インターネット上の複数の地図で、「忍野八海」を検索するとこの池が示されることも、勘違いに拍車をかけている。村は、この地図を掲載する業者に訂正を求めているが、いまだに改善されていないという。

 村は世界遺産登録後、新たな地図作りに着手。忍野八海の位置を見やすく示したほか、徒歩で回る際の所要時間も明記した。また、八海の一つ「底抜(そこなし)池」が有料の資料館内にあることなど、観光客が誤解しやすい点も説明。A4判で10万枚を印刷し、商業施設などで観光客らに配布している。

 村観光産業課の権正(ごんしょう)久美子係長は「富士講信者が八海を巡った歴史があったからこそ、世界文化遺産として認められた。八つ全ての池を回り、信仰の歴史を感じてほしい」と話している。
(2013年10月6日09時11分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131005-OYT1T00279.htm

一瞬「忍野八海*1じゃなくて〈 忍野九海〉でもいいんじゃないの? と思ったのだが、それは宗教的な理由で駄目だったのだ。
「富士八海」について;

 河口湖、山中湖、精進湖、西湖、本栖湖を指して、富士五湖と呼んでいる。江戸時代はこれに明見湖(富士吉田)、泉津湖(泉瑞、富士吉田)、志比礼湖(四尾連湖、市川三郷)を加えて、富士八海(または富士八湖)と言っていた。

 いずれも富士講信者がめぐる霊場とされ、それぞれに八大竜神をまつっている。このうち泉津湖は吉田口登山道近くにあり、「御手洗竜王(みたらしのりゅうおう)」をまつっている。源頼朝が富士で狩りをした時に、家来ののどの渇きを癒やすため浅間神社に祈りを込めて岩をうがったところ、水が出てきたという伝説もある。

 これらの八海は内八海といい、このほかに「不二外八海」(霞ケ浦中禅寺湖、榛名湖、芦ノ湖諏訪湖、桜ケ池、二見ケ浦、琵琶湖)もあった。富士講の特に信仰があつい講員は、外八海も巡礼したという。
http://www.fujisan-net.jp/data/article/103.html

また、Wikipediaの「富士講」の項から;

富士講信者は富士山の登拝だけでなく、巡礼や修行を行っていた。それら巡礼地として富士五湖や白糸の滝などがあり、水行を行っていた。また忍野八海や洞穴(船津胎内樹型や吉田胎内樹型など)も霊場・巡礼地となっていた。
富士八海

富士八海と総称された巡礼地があり、富士山周辺の霊場を中心に構成される内八海と、関東〜近畿地方に広がる外八海に分けることができる。内八海は富士五湖の各五湖と明見湖(あすみのうみ、富士吉田市)、四尾連湖(志比礼湖、しびれのうみ、市川三郷町)、泉端(泉水湖、せんづのうみ、富士吉田市)が近世富士講の巡礼地であった。しかしそれより以前は、泉端ではなく須戸湖(沼津市富士市)を含めて「富士八海」とされていた。

外八海は二見海(二見浦、三重県)、竹生島(琵琶湖、滋賀県)、諏訪湖(長野県)、榛名湖(群馬県)、日光湖(中禅寺湖、栃木県)、佐倉湖(桜ヶ池、静岡県)、鹿島湖(霞ヶ浦茨城県)、箱根湖(芦ノ湖、神奈川県)である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E8%AC%9B#.E5.85.AB.E6.B5.B7.E3.82.81.E3.81.90.E3.82.8A

忍野八海」は「富士八海」のミニチュアということなのか。
問題は「八」という数字の意味。これは八大龍王*2に由来する*3。ということで、七海でも九海でもいいというわけにはいかないのだった。
ところで、富士山と宗教だが、保阪尚希「出家」を巡る『デイリースポーツ』の記事に、 保阪尚希は「今でも[父親の]月命日には墓参りし、年に1度は富士山山頂で祈りをささげる」という記述があった*4