賈葭「牧羊與牧民:卡扎菲的精神世界」『上海書評』2011年4月3日
あのカダフィ(ムアンマル・アル=カッザーフィー)*1は小説を書いていた。日本語訳が出ているかどうかは知らないが、中国では2001年に長江文藝出版社から短編集『卡扎菲小説選』(李栄建訳)として出版されている。アラビア語のオリジナルは1988年に出たものだという。
1989年がマルクス主義的な旧左翼にとっての試練だったとしたら、現在のリビアの事態は、寧ろアナーキズム系或いはポピュリズム系の人たちにとってはショックなのではないか。カダフィのイデオロギーというのは徹底的に反媒介的、反制度的なものだ。だから、一時期のリビアは国家廃絶への第一歩としてそれなりの賞賛を受けていた筈。非資本主義・非共産主義のカダフィ理論においては、前衛党による指導もプロレタリアート独裁も設定されていない。こうした〈独裁〉の不在は結局(制度から自由な)個人の独裁を帰結してしまったということになる。
ところで、彼には(日本語ヴァージョンを含む)公式サイトがある;
また、彼の『緑の書』の全文英訳は