上野からバーガーへ

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110205/1296875307に対して、


osaan 2011/02/05 17:37
昔、上野千鶴子浅田彰の対談で
上野「私たちのようなニュー・ライトは…」
浅田「僕は古いタイプの左翼ですから」
上野「え、そう?」
というようなやり取りがあったと記憶しています。
まだ上野氏が教授になる前だったと思いますが、それ以来私は「フェミニズムで保守の人」と認識しています。
なんといいますか、IQ五割増の佐藤愛子といった感じで。
保守を自認してる方々はフェミニズムはお嫌いのようですけどね。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110205/1296875307#c1296895071
1980年代の或るシンポジウムで浅田彰氏は、菅孝行や粉川哲夫のことを愚鈍でマルビな左翼というふうに決め付けていましたが(まあ、粉川氏はともかくとしてそもそも菅孝行はその程度の人間でしょう)。それはさておき、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110202/1296628031で引用した『at』のインタヴューでも、上野氏は自分は「非原理主義者」だと言っています(p.33)。「保守」の特性のひとつには「プラグマティック」ということがあるわけですが*1、翼の右左を問わず、〈節操〉とかを重んじる人にはそうした「保守」の「プラグマティズム」は如何わしく映るのでしょう。保守主義ということだと、上野氏のピーター・バーガーへの評価ということも重要なのではないか。『構造主義の冒険』という本に収録されている短めのバーガー論*2では、バーガーを賞賛して、現代社会において「正気」を保つには保守主義しかないだろうといったことを述べています。1980年代において、バーガー=新保守主義者ということは日本の思想界の一部にはかなりショックを与えたようで、山之内靖がThe Social Construction of Realityを読んで感激したその直後にバーガーが米国の代表的な保守主義者だということを知って愕然としたということもあったわけです。『構造主義の冒険』が刊行された時点では、バーガーの〈家族〉を巡るフェミニストたちとの論戦の書であるThe War Over the Family: Capturing the Middle Ground*3も既に刊行されていたわけですが。それはともかくとして、(私の文章を読んでいる方はとっくに気づいているとは思いますが)私の考えていることの基本となっているものも(自分の思考全体の30%くらいか)、バーガー先生が『社会学への招待』や『現実の社会的構成』や『聖なる天蓋』などで論じた枠を出てはいないですが。
クォータリー あっと 0号

クォータリー あっと 0号

構造主義の冒険

構造主義の冒険

Social Construction Of Reality (Penguin Social Sciences)

Social Construction Of Reality (Penguin Social Sciences)

The War Over the Family: Capturing the Middle Ground (Pelican)

The War Over the Family: Capturing the Middle Ground (Pelican)

Invitation to Sociology (Penguin social sciences)

Invitation to Sociology (Penguin social sciences)

The Sacred Canopy: Elements of a Sociological Theory of Religion

The Sacred Canopy: Elements of a Sociological Theory of Religion

*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090826/1251225298 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070116/1168966875

*2:私は『現代思想』誌に掲載されたのを最初に読んだ。

*3:これは夫婦の共著で、ファースト・オーサーはブリジット夫人になっている。