http://www.hayamiz.jp/2010/05/thomas02.html
『きかんしゃ やえもん』という絵本があったな。テクストは阿川弘之。小学校低学年の時に国語の教科書に掲載されていた。これは戦後の国鉄の最絶頂期に書かれたものだが、蒸気機関車というものだけでなく国鉄のその後の運命も暗示するような悲しい物語ではある。
さて、米国における「自動車の擬人化」。遺憾ながらスティーヴン・キングの『クリスティーン』は読んでいない。ただ、米国映画における「自動車の擬人化」ということで印象が強いのはスティーヴン・スピルバーグのデビュー作であるDuel。主人公のデニス・ウィーヴァーがタンク・ローリーを追い越したら、今度はそのタンク・ローリーに執拗に追跡されるという筋。タンク・ローリーのドライヴァーは画面に現れず、車それ自身が意志を持ったかのように主人公をひたすら追跡しまくる。この作品はそもそもTVドラマとして制作されたので、CMによる中断を考慮したシーンの反復もこのタンク・ローリーの追跡の執拗さをさらに印象強いものにしている。邦題は『激突!』なのだが、かなり的外れなタイトルではある。Duelは直訳すれば決闘だけど、精神分析においては分身というテーマと結びつけられる。象徴界の介入以前のイマジネールな単数性も複数性も成立しない双数性の世界(See eg. 佐々木孝次『父親とは何か』)。そういえば、Duelのタンク・ローリーと『ジョーズ』*1の鮫は物語論的に等価だった。
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父親とは何か―その意味とあり方 (講談社現代新書 (643))
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