「あのつまんない」

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091127/1259334346


http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091127/1259334346に対して、「jiangmin-alt*1 人物 訃報; "喪主は夫方邦(まさくに)氏"; ひょっとしてあのつまんない北沢方邦? 2009/11/28」というコメントをいただく。多分、以下に誌すような「北沢方邦」であればYESだと思います。
考えてみれば、私は北沢方邦という人に多少なりとも学恩があるわけで、大学に入って、先ず講談社現代新書から出ていた『構造主義』という本で「構造主義」に入門したからだ。というか、その頃、「構造主義」の入門書といえばそれくらいしかなかったのだ*2。その後、ピアジェの『構造主義』を読んで、北沢『構造主義』のネタ本の1つがそれであることが判明したりしたのだが、その後北沢さんに対する思想的興味は、彼は創価学会に入信しているのかどうかというゴシップネタ以外には失せていった。因みに、彼は公明党公認で参議院選挙に出馬して落選したことがある。また、『日本人の神話的思考』という本の中で、かなり唐突に日蓮、それも創価学会的な生命哲学的日蓮が言及されていて、やっぱり! と思ったことはある。ただ、調べてみると、最近もけっこう旺盛に本を出しているんですね。jiangmin-altさんの「あのつまんない」という評語はその最近の旺盛な出版活動に対するものでしょうか。

構造主義 (講談社現代新書 171)

構造主義 (講談社現代新書 171)

構造主義 (文庫クセジュ 468)

構造主義 (文庫クセジュ 468)

日本人の神話的思考 (1979年) (講談社現代新書)

日本人の神話的思考 (1979年) (講談社現代新書)

北沢さんて、そもそもは〈音楽社会学者〉として売り出した人なんですよね。彼が1971年に出した『音楽に何が問われているか』という本にはかなり初期のテクストも収録されていて、スターリン社会主義藝術についての〈内容は社会主義的、形式は民族的〉というテーゼに反駁して、近代(クラシック)を擁護していたのが興味深かったということはあります。音楽思想史(というか、音楽についての言説の歴史)の史料としては興味深い人だということでしょうか。
音楽に何が問われているか (1971年)

音楽に何が問われているか (1971年)

*1:http://jiangmin.g.hatena.ne.jp/

*2:今でも橋爪大三郎『はじめての構造主義』、内田樹『寝ながら学べる構造主義』くらいか。

はじめての構造主義 (講談社現代新書)

はじめての構造主義 (講談社現代新書)

寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))

寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))