海流など

古寺多見さん曰く、


当時、ソ連は、どこの海だったか忘れたが、一大土木工事によって、海流の流れを変えて、暖流が自国の近くに来るようなプロジェクトを計画しているとのことだった。地理の教師は授業でこれを無批判に紹介したのだが、高校1年か2年生だった私と級友は、「それって生態系に影響を与えて自然破壊につながるんじゃないか」と感想を述べ合ったものだ。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20091023/1256298993
これは知らなかった! 蘇聯における自然破壊として有名なのは何と言ってもカザフスタンウズベキスタンの国境地帯にあるアラル海*1。中国の場合だと、やはり大躍進運動*2を挙げておくべきでしょう。これについても、山田慶児のような優れた科学史家がマンセーしていたということがありました(例えば、『未来への問い 中国の試み』)。
未来への問い―中国の試み (1968年)

未来への問い―中国の試み (1968年)

それから、「驚くべきことに、1980年代前半くらいまで、つまり、ゴルバチョフペレストロイカを始める直前まで、NHK-FMクラシック音楽を解説していた評論家や学者たちの多くが、ソ連や東欧を手放しで賛美する人たちだったのである」というのも吃驚。というか、そもそもクラシック業界については疎いのだ。ただ少し理屈を捏ねてみると、蘇聯(また東欧)はアヴァンギャルドを抑圧していたせいもあって、音楽にしてもバレエにしても、オーソドックスなクラシックが西側よりもよく保存されていたということと関係があるのでは?

また、kechackさん*3の「経済至上主義の経済保守が環境保護運動に敵対するでしょうが、真正保守主義者はむしろ環境保護運動に親和的なはずです。本来日本の美しい伝統文化を守ると言うことと、日本の美しい自然を守るということは陸続きで極めて親和的なはずですから」*4について。例えばどこの国でもナショナル・トラスト運動には保守系の人が広範に参加しています。ただ、「美しい伝統文化」が衰退したり、「美しい自然」が消失しつつあるからこそ、〈ウヨ〉が出てくるということも言えるのでは? 俗に「真正保守」と呼ばれているような連中を「真正保守」と呼びたくはないということはありますが、もし〈真の保守〉と呼ぶべき人々がいたとしても、そういう人たちは静かにお能を観たり、お茶を飲んだり、和歌を詠んだりしている筈なので、表面化することはないと思いますが、如何? これは多分どこの国でも同じでしょう。