土曜日はThe Foundry Gallery(築造空間)*1の市川友章『飄 Floating』*2のオープニング。
市川氏は1977年千葉県生まれ。今回展示された作品はおおよそ3つに分けられる。先ず、動物の肖像画。また、有名人(カート・コバーン、ピカソ)の肖像画。そして、”Floating”と題された古典絵画を解体・再構成したシリーズ。動物の肖像画は泰西名画風のコスチュームに身を包み、西洋古典絵画の構図と技法で描かれた動物たちは、やはり笑いを誘ってしまう。この動物たちの多くは市川氏のペットで、「自分の生活からは懸け離れた(と私自身は感じる)モダニズム以降の絵画理論をもとに制作するのではなく、もっと、自分にとって身近なところから作品を生みだすべきなのではないか」と考えていたのが動機となったという。有名人の肖像画については、「現代において求心力を失わず、人々の心の中に存在し続けるスターを、その憧れのままに描くことが制作の動機でした」と語られている。
今回展示された中では最も初期に属する”Floating”シリーズは、ヤン・ファン・エイクの「アルノルフィニ夫妻の肖像」とベラスケスの「侍女たち」の構成要素が「浮遊」しているのだが、そのイメージの原型は彼が「幼い頃に集めていたキン肉マン消しゴム」であるという。ただ、ベラスケスの「侍女たち」はミシェル・フーコー『言葉と物』の巻頭を飾るもので、それが解体して「浮遊」しているということで、すごく興味深かったのだ。
ある種、現代の“神話”として生き続ける彼らを、太古の芸術家がおこなったように、自分の持てる技術の全てを捧げて具現化する。そういった個人主義の芸術家ではなく、職人としての意識の中で絵画を制作することが私の頭の中にあったことは確かです。
- 作者: ミシェル・フーコー,Michel Foucault,渡辺一民,佐々木明
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金曜日にCynthia Freeland Art Theory: A Very Short Introduction*3 Oxford University Press, 2001(黄継謙訳『西方藝術新論』易英[序言]訳林出版社、2009)を買った。
Art Theory: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)
- 作者: Cynthia Freeland
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