国民とはどんな人か問題


わたしたち在日のオールドカマーは、移民ではない。不法入国者でもない。元日本人とその子孫である。日本人と在日三世であるわたしの違いは、祖父母の出身地が日本国内(内地)か、当時「外地」といわれた植民地か、という1点だけだ。わたしの両親は、日本国内(内地)で、日本人として生まれている。ふたりとも解放前の生まれだからね。

だが、わたしには参政権はない。外国人なんだから当然だろ、と、したり顔で言う人は多い。帰化すれば総理大臣にだってなれますよ、ってか。まったくその通り。

出生した国に定住しているというのに、成人しても参政権がない。それは、基本的人権を守るための権利を持っていない、ということだ。これを、基本的人権が否定されている、という言い方をするのは、そんなにおかしいのだろうか。参政権なしでわたしの基本的人権はだれがどうやって守ってくれるのかな。日本国の恩恵は人権とはいわないんだけどね。

祖父母が外地から移住してきた、ということは、それほどの罪だろうか? 彼らが日本国籍を失ったことについては、これっぽちも責任はないというのに。

帰化すればいい」という人に聞きたい。あなたの今持っている国籍は、どうやって得たものか。あなたの国籍を決めたのは誰なのか。
http://www.yhlee.org/diary/?date=20081106#p01

「在日」問題に固有の歴史性を捨象すれば、日本国民の定義が属人主義に拠っている問題もあるのではないだろうか。つまり、日本人とは日本人の子どもであるということ。国籍の定義を属地主義(日本の領土内で出生した人間は潜在的に日本人である)*1に変えてしまえば、問題状況は一変する筈だ。
ところで、

以上から、少なくとも在日朝鮮人に関しては「帰化を要件としないで」日本国籍を持っているのと全く同じ市民権(選挙権・被選挙権を含む)を日本政府は認めるべきだ、というのが私の主張になります(そしてその権利を行使するかどうかは本人が決めることです)。
 もしそれを日本政府が認めないのであれば、日本政府は在日朝鮮人から徴税したり、在日朝鮮人を逮捕したり、つまり国権を及ぼしてはいけません。もちろん出入国も制限できません。「代表なくして課税なし」です。
http://d.hatena.ne.jp/hippie/20081106/p1#c1225992313
の中の公民権と税を結び付けるロジックには或る危うさがある。制限選挙制度の下にあるのならまだ説得力はあるのだが、普通選挙制度は財産の多寡、納税の多少を問わず、一定年齢以上の人に参政権を保証するものである以上、税を払わない低所得者から参政権を剥奪しろとかいう議論に道を開きかねない。

*1:仏蘭西や米国は属地主義を採っている。