ピンク化?

 「生存のためピンク街化する地方商店街」http://fukuma.way-nifty.com/fukumas_daily_record/2007/08/post_cbe0.html


三浦展氏を引きつつ、「地方商店街のピンク街化」について述べる。ここで挙げられている例は群馬県太田市と神奈川県厚木市。以前宮台真司氏が述べていたかも知れないが、こういう産業が成り立つのは乗換駅とか或る程度ターミナル的機能を有する駅の近くの商店街でなくては難しいのではないかとも思う。家から徒歩で行けるところの風俗店に行くってどうよということだ。また、http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20070817/1187375758を引きつつ、「商店街のピンク街化」「と同じ流れを、今度は「町の本屋さん」がたどっているらしい」という。しかし、「町の本屋さん」のエロ本屋化は今に始まったことではない。遅くとも、1980年代、「フランス書院」とかのエロ系の文庫がブレイクした頃には始まっていた。たしかに、http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20070817/1187375758のコメント欄で、


min2-fly 『アダルト系は・・・根強い需要がある上に、あればっかりは人の多い大手書店/大型書店で買いたいものではないですからね(汗)
ネット書店で買うにも下手に個人情報残ると恥ずかしい思いをしかねないし、生き残るにはいい手段なのかも知れません。実際、昔住んでた街でも、ほかはほとんどシャッター閉めてるアーケードで、アダルトメインの書店だけはしぶとく営業し続けたことありましたし。
ただまあ・・・営業する側としては複雑な気分になりそうですし、あんまり数が増えるとまた危険でしょうね・・・。

あ、でもコンビニにおけるアダルトな本は最近は規制が入ってることを考えると、コンビニとも競合しないしいい狙いどころではあるのかな、やっぱり・・・』 (2007/08/19 00:30)

と言われているように、手堅い戦略といえるのかも知れない。
それにしても、ここで引かれている『朝日』の記事*1の「日本書店商業組合連合会が昨年5月にまとめた書店の「経営実態調査報告書」によると、新刊書籍が「ほとんど入らない」店が50%、ベストセラーとなると55%近くにのぼった」というのは少し驚いた。これほどだとは思わなかった。小さい本屋に「ベストセラー」本が入りにくいというのはこれまた目新しい話ではない。元ジャックスの早川義夫さんが配本されない「ベストセラー」の注文を受けて取次に電話したら、時間がすごくかかるとか言われて、結局電車に乗って神保町の問屋まで行って買ってきたが、当然の事ながら大幅な赤字だったとか書いていたことがあったんじゃないかと思う。
実は「町の本屋さん」の大きな収入源はほかにあったと思う。雑誌の定期予約。私が小学校を卒業する頃、街の洋服屋と本屋からDMが来た。前者は学生服のお仕立てについてだが、後者は旺文社の『中一時代』の定期予約の案内。私は定期予約しなかったが、予約した人もけっこう多かったと思う。今でもやっているのか。あと、店の近くのラーメン屋、喫茶店、美容院、歯医者といった定期的に雑誌を必要とする場所へ配達するというのがけっこう大きかったのではないか。しかし、高齢化すれば、いちいち配達するのは辛くなるし、また商店街そのものが衰退してしまえば、この方面の収入ががたっと減ることは目に見えている。
ということで、問題は商店街という地域共同体と商店街を構成する旦那衆という〈中流階級〉の変容が問題だということになる。これについては、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070605/1181012495http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070623/1182592802も参照いただきたいが、そのような商店街というのは日本の多くの場所で既に『ALWAYS 三丁目の夕日*2の中にしかないということか。
ところで、「町の本屋さん」とは対照的に、東京のおしゃれな本屋(その多くはカフェも兼ねている)は、台湾、香港、そして中国でも、雑誌の特集が組まれたり、ガイドブック(たしか『閲読東京』だったか)も出版され、国際的な観光スポットになっている。