フィンランド式ってどうなの?

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060227/1141008207を最初書いたとき、ちょっと言及しておきたいことがあった。どうも、何かを言ったり書いたりするときには、常に言いたかったのに言うのを忘れてしまったこと、言う予定はなかったのに何故か言ってしまったことというのがあるようだ。
atutakeさん*1が紹介している「フィンランド方式」である。フィンランドOECDの「国際統一テスト」のスコアを見ると、その学力水準は世界トップ・クラスである。「なぜかドイツがまったくランクに入っていないのも疑問」とatutakeさん自身が突っ込んでいるように、この「国際統一テスト」にも色々と問題はあるのだろうけど、今は目を瞑ることにする。atutakeさんは、そのフィンランドの教育技術を紹介した『図解 フィンランド・メソッド入門』という本を紹介しているわけだ。atutakeさんによると、「フィンランド方式」の要点は、


1.マインドマップを使って発想練習をしていること

2.先生が「どうして?」攻撃をかけ続けていること

3.言葉を自由に使うような作文練習をしていること

4.「本当にそう?」と考えるクセをつけていること

5.相手の立場になって考えるよう練習していること

の5点に纏められるという。「マインドマップ」というのは、

まずマインドマップ。これをフィンランドでは「カルタ」と呼んでいる。たとえば大きな紙の真ん中に「コンピューター」とだけ書いてある。そこから枝を伸ばしていく。それでなにをするの? それはどんなもの? それは何? みたいな。こうやって一つテーマが与えられたときの発想の広げ方を学ぶ。


自己紹介だって、このやり方を使える。私は何、どんな人(外見・考え方・話し方・感じ方・好きなこと・嫌いなことetc)、知り合いはといった具合に。


さらには文章の解釈から物語の分析にも、このカルタは使われている。たとえば「桃太郎が鬼退治をした」と真ん中に大きく書いておいて、なぜ・どこで・いつ・どうやって・どうなった、みたいな枝を自由に書いていかせる。知らないうちに5W1Hの考え方が身についていく。発想だけじゃなくて、あとで作文にまでもっていく。

ということ。
どうでしょうか。全く新しい考え方というよりは、実務にせよ、学問にせよ、藝術にせよ、面白いことをやっている人というのは、知らず覚えずこれを常に既に実践しているのではないかとも思う。そうすると、人は教えられることなく如何にしてそのような技術を会得しているのかというのは面白そうなテーマであるが、それはさて措く。ただ、「マインドマップ」を描くにあたって、〈合理性の専制〉を許してしまうと、面白いものは産出されないような気がする。また、こういうのって、大方ファシリテーター的な存在(例えば教育という場面では教師)が介在しているわけだが、その振る舞いには注目することは、政治的にも社会学的にも重要なことだろう。みんな好き勝手に想像を巡らせているつもりでも、実はほにゃららという可能性があるからだ。世の中には、田原総一朗的キャラの人*2というのはけっこう多そうだし。
でも、お気楽にやってみれば楽しいんじゃないかと思い、曾孫引き的に紹介した次第。

ところで、「脳内演説」とkmizusawaさんはおっしゃる*3。その場合でも、〈脳内ブーイング〉とか〈脳内拍手〉はあるのでは?

*1:http://d.hatena.ne.jp/atutake/20060213/1139782428

*2: http://takayak.moe-nifty.com/episode2/2005/12/post_c1be.htmlでいう「「するの、しないの、どっちなの」とパネラーを問い詰める人相の悪い深夜番組の司会者」って誰?

*3:http://b.hatena.ne.jp/kmizusawa/