一夜明けて

 「逮捕は19時30分というから、各TV局とも予定を変更して、臨時ニュース特番で盛り上がっているのでしょうか」と書いた*1神保哲生氏は、


そういえば、小菅の東京拘置所までのヘリコプターによる実況生中継を見るのは久しぶりでした。麻原彰晃逮捕の時以来のような気がします。

あれを見ていて、「本当にそこまでやるほどのことなのかなあ」とも思いましたが、逆にその実況のハシャギぶりや各局が軒並み特番をやっているのを見て、「へえ、そんなに大変なことだったんだ」、と、なかば逆説的な意味で、これが大ニュースのように思えてくるから不思議です。

一応上場企業の創業者社長の逮捕ではあるけれど、ライブドアなんてまだ企業としては大した会社ではないでしょう。一部上場企業でもないし。結局話題性とか神話の崩壊みたいなことが、大きく報道する動機になっているのだろうけど、話題性にしても神話にしても、どっちもメディアが作ったものではないですか。ホリエモンがそれを最大限に利用したのも事実だけど。
(「私たちが監視すべき対象はホリエモンの悪行なのか、それとも・・・」http://www.jimbo.tv/column/000209.php

と書いている。やっぱり。
 東浩紀氏の「ライブドアとオウム?2」*2を読む。俗流的な〈世代論〉の跋扈を危惧している――「この国の言論空間は世代によって分割されており、事件が起こるとすぐ世代論が動員される」。また、曰く、

このライブドア事件をきっかけとして、このところようやく日本社会で盛り上がってきた世代交代への熱意は急速に冷める可能性がある。学生起業や個人投資は虚構で、手堅いのは大企業就職だ、といった保守的なメンタリティが力を強める可能性がある。団塊ジュニア〜ポスト団塊ジュニアへの風当たりは強くなるだろうし、チャレンジングな新世代を支持する知識人(たとえば宮台真司は、昨年3月の僕と北田暁大トークショーに乱入し、当時ニッポン放送の買収劇を繰り広げていた堀江を熱烈に支持していた)は活動しにくくなるかもしれない。
そういえば、小林よしのりが〈知識人〉としてブレイクしたのは〈オウム〉がきっかけだった。
また、mojixという方曰く、

ライブドアの「錬金術」は面白かったし、それで世の中が動くのを私たちは目撃した。
その社長が「ホリエモン」という尊大なキャラとして、テレビに出てくるのも面白かった。
ライブドア虚業だったかもしれないが、私たちが見たものは夢ではなかった。

しかしそんなホリエモンも、もう以前のようにマスコミに出てくることはないだろう。
ライブドアのショーは終わったのだ。
(「ライブドア虚業だったかもしれないが、私たちが見たものは夢ではなかった」http://mojix.org/2006/01/23/231712

ただ、「西武が1980年代の日本にカルチャーを作ったように、/ライブドアも、2000年代の日本にひとつのカルチャーを作ったと思う」というのは如何なものか。これは、X-JAPANLed Zeppelinを同列に論ずるのに等しいことだと、私などは思ってしまう。もし、そうだったとしたら、そこに表れているのは、日本社会における全般的な〈教養〉の低下ということではないのか*3
 さて、http://d.hatena.ne.jp/amyamy2006/20060124を読んで、思い出したのだが、極度にベタではあるが、ボブ・ディランの名曲”Like a Rolling Stone”を聴くべし。