that’s Shanghai

 上海で発行されている英語の情報誌that’s Shanghaiの12月号。

 〈最後の香港総督〉クリス・パットン卿へのインタヴューというのもあるのだけれど*1、取り敢えず、竇唯(Dou Wei)へのインタヴュー(Jose QIAN “Keeping it real” p.22)とWU Shixian(Dayyan ENG)の映画Waiting Aloneのレヴュー、Nicole KWAN “Fish out of water”(p.28)が目を引く。
 竇唯へのインタヴューは、他のメディアに出ていたのと比べて、取り立てて新しい情報を含んでいるわけではないのだが、竇唯は当地に来て再発見したお気に入りでもあるので、取り敢えず言及だけはした*2。煙草は「中南海」を吸ってるんだ。
 KWANさんは、John Woo、Ang Lee、Eddie Fongの名前を挙げながら、「このグローバル化のご時世において」”Chinese films are fast becoming multicultural products.”と述べている。台湾生まれで、米国在住で、北京を舞台にした映画を撮ったWU Shixian(Dayyan ENG)も、その端的な一例というわけだ。
 
 地下鉄の「陝西南路」駅の構内に「季風書園」という書店がある*3。雰囲気としては、フーコーハイデガーの本が平積みされている本屋。その創業者であるYAN Bofei氏へのインタヴュー*4。それによると、YAN氏は元々哲学者で、理由はわからないが、「社会科学院」を辞めて、しばらくスタンドで新聞雑誌を売っていたという。1997年に創業。最近、台北にも支店を出したという。

 で、昨日、「季風書園」にて、


  高宣揚
  『魯曼社会系統理論輿現代性』
  中国人民大学出版社、2005


を買った。Luhmann’s Social System Theory and Modernity. 中国初のルーマン研究本であるとのこと。著者の高氏は、1980年代から、実存主義からポスト構造主義に至る、西洋現代思想の紹介をしてきた人らしい。中国の今村仁司か?

 それから、淮海路をさらに歩いて、愛普生影藝坊*5で、森山大道*6の『布宜諾斯艾利斯(Buenos Aires)』。これは既に東京で既に開催されたものだけれども*7、上海で観ると、(まだ行ったことがない)ブエノスアイレスと上海の近しさを感じないわけではない。以前、王家衛の撮ったブエノスアイレスを、香港だぜ、と感じてしまったことはあったが。

*1:JFK Miller “Inside the diplomatic pouch” pp.68-70.

*2:ここで言及されている10月の上海でのライヴは仕事がどうしても片付けられず、遺憾ながら行けなかったのだが。

*3:民営の書店ということで、近所(天平路)に、「自游人」という旅行関係に特化した小さな本屋がある。「自游人」という名前からは、日本の〈バックパッカー的センス〉を感じてしまうのだけれど、その思想的影響というのはどうなんだろうか。私にとっての注目点はオルタナ系ロックのCDが充実していることか。

*4:Mina CHOI “Based on the books” p.32.

*5:http://www.epson.com.cn/epsite/

*6:http://www.moriyamadaido.com/

*7:Cf. eg. http://www.luckyfrog.com/mt/archives/000886.html http://meetsall.exblog.jp/m2005-06-01