「よほどのこと」

毎日新聞』の記事;


陸自駐屯地>隊舎内で自衛官の女が出産、女児遺体を放置

8/1(火) 23:40配信

毎日新聞


 ◇滋賀県警、23歳を死体遺棄容疑で逮捕

 出産した女児の遺体を自室に放置したとして、滋賀県警は1日、同県高島市今津町今津の陸上自衛隊今津駐屯地第10戦車大隊に所属する陸士長、田村榛菜(はるな)容疑者(23)を死体遺棄容疑で逮捕した。

 逮捕容疑は今年7月27日午前6時半ごろ、駐屯地の隊舎内で出産した女児の遺体を自室に放置し、遺棄したとしている。県警捜査1課によると、田村容疑者は容疑を認めている。

 司法解剖の結果、女児の死因は窒息で、目立った外傷はなかった。田村容疑者は「同日午前6時ごろに一人で産み、死産だった」と供述しているが、県警は出生時は生きており、6時半ごろ死亡したとみている。女児は新聞紙に包まれていた。

 田村容疑者の同僚が同日午後2時ごろ女児の遺体を発見し、駐屯地を通じて高島署に通報した。【森野俊】
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170801-00000122-mai-soci

こういう事件の報道を聞く度に思うのは、根源的な共犯者がいる筈だということ。人間の生殖というのは基本的には精子卵子の結合によって行われるのだ。しかし、産む性の側のみが〈実行犯〉として、社会的・法律的な責めを一身に引き受けてしまう。
ところで、「同僚」は「陸士長」の妊娠に全く気付いていなかったのだろうか。兵舎や学生寮のような場所で集団生活をする女性は仲間内の生理について敏感になっているのでは? 
ところで、鷲田清一*1『老いの空白』に曰く、

(前略)産み落とされたとたんに見捨てられ、野ざらしになって死にっきりということがわたしたちの社会ではよほどのことがないかぎりありえない以上、生まれたときも私たちは他の人たちに迎えられたのであり、死ぬときも他の人たちに見送られる。だれもが、生まれるとすぐだれかに産着を着せられ、食べさせてもらうのであり、死ぬときもだれかに死装束にくるまれ、棺桶に入れてもらうのである。(p.60)
「よほどのこと」だったわけだ。
老いの空白 (岩波現代文庫)

老いの空白 (岩波現代文庫)

*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060312/1142190612 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060313/1142223339 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070105/1167974950 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070420/1177093181 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071029/1193653921 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080831/1220155395 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090724/1248409057 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090816/1250358935 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091213/1260686440 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100213/1266069745 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100430/1272607469 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100921/1285038978 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101109/1289281535 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101112/1289497060 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101123/1290485341 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110215/1297786787 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110603/1307072747 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110616/1308197385 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110626/1309058098 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110627/1309194879 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110711/1310356905 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120508/1336445007 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120508/1336486987 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130630/1372528653 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130718/1374112169 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131218/1387381317 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140224/1393256418 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150417/1429297314 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150424/1429844873 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160104/1451930756 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160107/1452130435 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160722/1469159771 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170516/1494898759

Jeanne Moreau

『Elle』の記事;


2017/7/31(月)
仏大女優、ジャンヌ・モローが89歳で逝去


20世紀から現在に至るまで、フランス映画を代表する俳優として全世界の女優達の憧れだったジャンヌ・モローが現地時間7月31日(月)に亡くなった。89歳だった。

新聞「ル・フィガロ」紙が伝えたところによると、パリのフォブルール・サントノレ通りの自宅の一室で、亡くなっている状態で家政婦により発見されたそう*1。「ル・モンド」紙が彼女のエージェントがアジャンス・フランス・プレスにアナウンスしたとしているこの発表は、パリ8区の区長であるジャンヌ・ドートセール氏が『クローサー』誌が得ていた情報を認める形ではっきりしたのだとか。

これにエリゼ宮(大統領官邸)もすぐに反応し、哀悼の意を発表。「彼女とともに、その複雑さや誉れ高さ、そして難解さのなかで映画そのものを体現しきった、そんなひとりのアーティストも失われてしまうのです。大統領、そして大統領夫人はともにご家族、友人、そして映画、演劇、テレビ界すべてに哀悼の意を表します」と、ジャンヌの功績を称えている。

黒衣の花嫁』『突然炎の如く』『死刑台のエレベーター』から『ニキータ』まで、気難しく力強く怪しく、幅広い役柄を得意としたジャンヌ。最近では『僕を葬る』で主人公の祖母役をやったかと思えば、『クロワッサンで朝食を』では気難しい老女を茶目っ気たっぷりで演じたりと、まさに千の仮面をもつ女優ジャンヌは、あのオーソン・ウェルズをして「地球上で最高の女優」と言わしめた天才女優。気難しく、独立した、強く魅惑的な女性を演じ続け、65年もの女優生活を貫き通した大女優が亡くなったことで、映画界が失うものは大きい。
http://www.elle.co.jp/culture/celebgossip/Jeanne_Moreau_dies170731

黒衣の花嫁 [DVD]

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死刑台のエレベーター [DVD]

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ニキータ [DVD]

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ここで挙げられている『黒衣の花嫁*2、『突然炎の如く』*3、『死刑台のエレベーター』がジャンヌ・モロー*4の代表作であることに異議を唱える人はあまりいないのでは? ほかに挙げるとすれば、カンヌの主演女優賞を獲ったピーター・ブルック監督の『雨のしのび逢い』、テオ・アンゲロプロスの『こうのとり、たちずさんで*5など。また、ゴダールの『女は女である』*6にも出ていたのだった。
女は女である [DVD]

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See also


“Jeanne Moreau: French screen icon and star of Jules et Jim, dies at 89” http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-40774985
Roisin O'Connor “Jeanne Moreau dead: French star of Jules et Jim dies age 89” http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/films/news/jeanne-moreaeu-dead-jules-et-jim-actress-dies-aged-89-died-truffaut-cocteau-jean-genet-a7868446.html
Gwilym Mumford “Jeanne Moreau, star of Jules et Jim, dies aged 89” https://www.theguardian.com/film/2017/jul/31/jeanne-moreau-star-of-jules-et-jim-dies-aged-89
Ronald Bergan “Jeanne Moreau obituary” https://www.theguardian.com/film/2017/jul/31/jeanne-moreau-obituary

「その本のあるがままの姿」

角幡唯介*1「本と向きあう白い生地」『ちくま』556、pp.16-17


「北海道の札幌南高校の図書館で司書をつとめる著者と、その図書館をおとずれる十三人の高校生の本をめぐる語らいを結実させた」(p.16)、成田康子『高校図書館デイズ――生徒と司書の本をめぐる語らい』という本を紹介するテクスト。
曰く、


今の私は自分の得意な経験に基づき、独自の世界を築きあげすぎてしまったせいで、本をあるがままに読むことができていない。私という人間のペースはすでに固まりかかっており、可塑性が少なくなってきている、偏屈になってきていると言ってもいい。どうしても本を自分の世界に引きつけ、過去に獲得した言葉を武器に本を取り込もうとしてしまう。しかし、この高校生たちはまったく逆である。彼らの人格はまだ形成途上で、透明だ。それだけに、本はその本のあるがままの姿で高校生たちの前に登場し、そして高校生はその本をあるがままの姿で受け入れることができている。そこにあるのは偏屈な解釈や打算的な思惑ではなく、何かと何かがぶつかったときの純然たる響きあいだ。彼らの言葉から聞こえてくる琴の音のような美しい旋律に、私は時折ハッとした。本をあるがままに受け入れることで彼らの内面に新しい領域が開け、そこにまた別の本が登場し、その言葉にごく自然に共鳴し、一枚のタペストリーが編まれるように新しい世界ができあがっていく。それは人生のかぎられた期間だけに可能な奇跡のような瞬間である。(pp.16-17)

哈根達斯

2016年1月10日。

ハーゲンダッツ*1@星游城*2

*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060507/1147010997 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100604/1275668904

*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140912/1410496855 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150420/1429497783 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150520/1432093122 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150526/1432644633 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150607/1433642857 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150610/1433863759 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150619/1434641352 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150629/1435547927 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150702/1435763658 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150704/1436004709 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150716/1437060750 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150723/1437656300 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160722/1469185404 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160815/1471231474 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160908/1473301109 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160913/1473733322 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160914/1473867280 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160920/1474385359 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161016/1476624251 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161107/1478496483 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161110/1478743668 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161205/1480959084 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161227/1482861169 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170107/1483805388 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170123/1485138305 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170217/1487349223 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170327/1490624974 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170405/1491319353 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170424/1492960484 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170504/1493929502 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170512/1494612618 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170523/1495516556 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170527/1495848293 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170602/1496336372

世博源(2016年1月)

2016年1月10日。




「世博源」*1

世博源。何故か馬車。

世博源。何故か孫悟空




「星媽媽」*2@世博源*3

孫悟空@世博源。

地下鉄・中華藝術宮駅。

福岡でも?

承前*1

西日本新聞』の記事;


福岡でも小5が毒ヘビ被害 かまれ5日間入院
8/2(水) 9:37配信 西日本新聞


 福岡県飯塚市の小学5年の男児が7月25日、同県宮若市内で毒ヘビにかまれ、5日間入院していたことが分かった。

 男児が通う小学校によると、男児は25日の昼ごろ家族と宮若市の千石峡で川遊びをしていて、体長1メートルほどのヘビを見つけ触ったところ、親指をかまれた。母親が病院へ連れて行き、集中治療室で手当を受けるなどし、29日に退院したという。男児は患部が痛むなどの症状が出た。ヘビの種類は分かっていない。

 7月29日には兵庫県で小学生がヤマカガシとみられる毒ヘビにかまれ、一時意識不明の重体になった。学校から31日に通報を受けた飯塚市教育委員会は「ヒアリセアカゴケグモなどの被害が全国で報じられている。夏休み期間中だが、学校を通して注意喚起したい」としている。

=2017/08/02付 西日本新聞朝刊=
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170802-00010001-nishinpc-soci

ヤマトには最近売り出し中のヤマカガシと蝮しか毒蛇はいないのだった。「ヘビの種類は分かっていない」って、「5日間入院して」どんな「手当」を受けたのだろうか。種類が分かっていないなら、血清はあり得ない。毒を吸い出すとかしたのだろうか。また、どんな「症状」だったのか。「患部が痛む」というのは「症状」ではないだろう。腫れたから「痛む」とか組織が破壊されたから「痛む」とか言わないと、「症状」の記述にはならないよ。さて、兵庫県の例でもそうだったけれど、血が止まらないというのは、毒蛇、とくにヤマカガシの毒の重要な指標であるらしい。
ところで、


おかだ外郎「毒ヘビで亡くなった人は年間何人なのか 」https://news.allabout.co.jp/articles/d/68032/


20141年の記事。この年、奄美では10年ぶりにハブに噛まれて死んだ人が出た。また、


普通の蛇は人の気配を感じるととっとと逃げていきますが、私が山道でマムシに会ったときには、目が合っているのに逃げないんですね。それどころかこっちを威嚇して向かってきそうでした。小道の真ん中からどいてくれないとこちらも先に進めないのでしかたなく石を拾って投げたら、案の定命中はしませんでしたが、さすがに先方も飛び道具には驚いたのか退散してくれたので、こちらも助かりました。
ところで、おかだ氏は「子供の頃にテレビの「ディズニーランド」でガラガラヘビが登場したときには「恐怖の存在」として描かれていたのが印象に残っています」と書いている。俺も「印象に残っています」。『ディズニーランド』というタイトルかどうかは憶えていないけれど、「ガラガラヘビ」*2の動画を初めて見たのはディズニー系のドキュメンタリー番組だった*3