By the editor

昨年、


Jasmine Taylor-Coleman “The long wait for F Scott Fitzgerald's 'lost stories'” http://www.bbc.com/news/magazine-37345902


スコット・フィッツジェラルドの未発表短篇を集めたI'd Die For You and Other Lost Storiesが近々上梓される。今のところ、表題作以外の内容は明らかにされていない。フィッツジェラルドのさらに多くの未発表或いは未完成のテクストがプリンストン大学図書館に眠っているという。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160921/1474431379

と書いたのだった。
編者による詳細;


Anne Margaret Daniel “The story behind F Scott Fitzgerald's lost short stories” https://www.theguardian.com/books/2017/apr/28/the-story-behind-f-scott-fitzgeralds-lost-short-stories

揖斐高『江戸幕府と儒学者』

揖斐高『江戸幕府儒学者 林羅山・鵞峰・鳳岡三代の闘い』(中公新書、2014)を数日前に読了。


まえがき


序章 方広寺鐘銘事件―林羅山評価の試金石
第一章 朱子学者羅山の誕生
第二章 御儒者の仕事
第三章 時代のなかの朱子学
第四章 読書家羅山と文学
第五章 二代鵞峰―守成への意志
第六章 『本朝通鑑』の編纂
第七章 鵞峰の自画像「一能子伝」
第八章 林家塾の教育体制
第九章 三代林鳳岡の憂鬱
第十章 赤穂事件
第十一章 新井白石との確執
終章 林家凋落の萌し


あとがき
主要史料・参考文献一覧
林家三代略年表

311を契機に「御用学者」なる人々が脚光を浴びたが*1 、日本史上最も悪名高き「御用学者」といえば、本書の主人公である林羅山に若くはないだろう。「まえがき」に曰く、

明治以後の近代日本の学問研究が、(略)林羅山およびその門流のあり方に対して貼り付けたレッテルには、「人間性を否定する封建教学の守護神」、「強権的な幕府政治に迎合する権力の走狗」、「思想的な独創性を持たない凡庸な儒者」というような、およそ罵倒に近いと言ってよい否定的評価の言葉が並んでいた。(pp.i-ii)
また、

(前略)林家関係の史料は昌平黌の蔵書を引き継いだ国立公文書館の内閣文庫を中心に膨大なものが現存しているが、何しろ長い間まともな検討に値しないと見られてきただけに、多くは原史料のままの保存であり、活字翻刻などの史料整備は極端に遅れていた。林家三代はそれぞれ没後に詩文集が出版された。それらは、初代羅山は六十冊、二代鵞峰は百五冊、三代鳳岡は六十七冊、このほか羅山の息子で鵞峰の弟にあたる読耕斎は三十冊、鵞峰の息子で鳳岡の兄にあたる梅洞は十六冊という冊数にのぼっている。これらのうち、三十年前の時点で活字翻刻が備わっていたのは初代羅山のものだけだった。後に二代鵞峰の詩文集が文集のみ影印本(原本の写真版)として出版され、三代鳳岡の詩文集も本書の原稿執筆中にようやく影印本が出版されたにとどまっている。(後略)(「あとがき」、pp.239-240)
本書において、著者は敢えて、林羅山=「曲学阿世」というイメージを決定的なものにした「方広寺鐘銘事件」、すなわち「国家安康」や「君臣豊楽」への「漢文の語法を無視した曲解に基づく誹謗」(p.17)から初めて、林羅山やその子孫たちが、どんな志を持って、どんな歴史的・社会的要請に応えて、またどんな内面的葛藤を抱えつつ、〈御用学者〉を続けたのかを、追跡している。林家三代は政治的クロノロジーでいえば、初代将軍徳川家康から八代将軍徳川吉宗にまで及ぶ。
さて、私たちは江戸時代の思想というと、(オーソドクシーとしての)「朱子学」あって、それに対して、例えば陽明学とか荻生徂徠古文辞学とか伊藤仁斎古義学、或いは国学が対抗するという構図を描いてしまいがちではないだろうか。実際、揖斐氏もこの図式を一部で引き受けている。しかし、本書を読んで再認識したことは、「朱子学」が決して一枚岩のものではないということだ。実際、林家の最大の天敵は木下順庵門下の朱子学者たち、例えば新井白石や室鳩巣だったわけだ。
そういえば、本書以前に同じ中公新書から出た江戸時代思想史の概説書である田尻祐一郎『江戸の思想史』では、崎闇斎は仏教批判という文脈で言及されているものの(p.63ff.)、林羅山は言及されていない。というか、「朱子学」一般に吸収されてしまっているという感じ(pp.74-75)。最近の論で林羅山への肯定的な言及が見られるのは、先崎彰容『ナショナリズム復権*2。というか、林羅山を肯定的に評価した江藤淳に対する肯定的な言及(第5章「ナショナリズムは必要である――江藤淳『近代以前』)*3
江戸の思想史―人物・方法・連環 (中公新書)

江戸の思想史―人物・方法・連環 (中公新書)

ナショナリズムの復権 (ちくま新書)

ナショナリズムの復権 (ちくま新書)

運転士は無事?

東上線で、線路に飛び込んだ男が駅通過中の電車の運転席の窓ガラスを突き破って飛び込んできたという事件があったばかり*1。今度は都営地下鉄新宿線神保町駅*2
朝日新聞』の記事;


男性が電車に接触、10m飛び2人に衝突 都営新宿線

2017年4月27日22時55分


 27日午後7時25分ごろ、都営新宿線神保町駅(東京都千代田区)で、ホームから転落しそうになった男性が、電車の先頭に接触した。男性は約10メートルはね飛ばされ、ホーム上にいた別の男性2人にぶつかった。

 警視庁神田署や東京消防庁によると、電車の運転席側のガラスが大破し、接触した男性は頭や胸を強く打つなどして出血。病院に搬送されたが意識はあり、命に別条はないという。巻き込まれたほかの男性2人も病院に運ばれたが、ともに軽傷とみられるという。この影響で、都営新宿線は一時、全線で運転を見合わせた。
http://www.asahi.com/articles/ASK4W7D20K4WUTIL077.html

飛び降りたのではなく、「転落しそうになった」わけね。因みに、最初に言及した東上線の事件でも、電車のフロント・ガラスを突き破った男は一命を取り止めている。「電車の運転席側のガラスが大破し」たということで、レヴァーを握っていた運転士がガラスの破片を浴びて負傷してもおかしくはないのだけれど、記事で言及されていないということは無事だったということか。不幸中の幸い。

Alison Kraussなど

CDを買う。

Alison Krauss Windy City

また、張嘉佳『擺渡人』*1のDVDを買う。主演は梁朝偉金城武。脚本に王家衛*2が参加している。

Untitled

2015年9月25日。

天鑰橋路・零陵路の交差点*1

天鑰橋路・斜土路の交差点*2

猫熊。永新坊。

永新坊。

天鑰橋路・辛耕路の合流点*3

*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150528/1432784630 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150617/1434466929 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150629/1435547927 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150705/1436103369 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150729/1438140589 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160726/1469489315 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160803/1470198642 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160806/1470479924 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160816/1471324982 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160908/1473301109 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161016/1476624251 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161019/1476855359 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161023/1477234007 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161104/1478233854 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161121/1479749822 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161222/1482436066 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161224/1482557431 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161225/1482691223 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161226/1482724524 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161228/1482930979 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170123/1485138305 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170125/1485364218 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170130/1485789247 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170211/1486823368 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170217/1487298340 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170217/1487349223 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170221/1487700640 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170224/1487948052 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170302/1488470274 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170307/1488901997 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170307/1488901996 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170314/1489517202 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170323/1490291432 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170327/1490588782 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170401/1491068281 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170402/1491145304 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170412/1492021375 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170424/1492960484

*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140922/1411397146 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140926/1411699356 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150224/1424748813 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150417/1429196644 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160726/1469489315 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160912/1473651025 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160913/1473733322 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160921/1474424003 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161016/1476624251 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161105/1478368914 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161123/1479912264 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161229/1483031021 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170220/1487522213 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170221/1487700640 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170227/1488212009 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170314/1489517202 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170318/1489801876 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170324/1490378551 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170401/1491068281 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170405/1491319354 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170411/1491888252

*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161220/1482202561 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170403/1491183749

従陸家嘴到上海体育場

2015年9月25日。


地下鉄・陸家嘴駅*1







地下鉄・世紀大道駅*2

地下鉄・上海体育場駅*3

根津美術館(其の1)

承前*1

2015年11月19日。

根津美術館*2






飛梅祠」。菅原道真を祀る*3






ゴキブリ燃やす?

朝日新聞』の記事;


「ゴキブリ駆除に火使った」従業員が説明 3人死亡火災

2017年4月28日11時47分


 広島市中区流川町の雑居ビルで2015年10月、3人が死亡した火災で、このビルに入居する飲食店の従業員だった男性が、広島県警の任意の事情聴取に対し、「ゴキブリを駆除するのに火を使った」という趣旨の説明をしていることが捜査関係者への取材でわかった。県警は、この火が周囲に引火して火災が起きたかどうか慎重に調べている。

 火災は15年10月8日午後9時40分ごろに発生。木造一部鉄骨の2階建てビルが全焼し、2階のメイドカフェのアルバイト従業員の女性(当時28)と、男性客2人(いずれも当時36)が死亡した。火元は段ボールなどが置かれていた1階の階段横とみられ、捜査関係者によると、別の飲食店に勤めていた男性は出火当時、近くでゴキブリに火をつけ、駆除していたという。
http://www.asahi.com/articles/ASK4X3JLMK4XPITB00D.html

ゴキブリを放つ奴もいれば*1ゴキブリを燃やす奴もいるのかと変なところで感心しかけたが、ちょっと冷静になってみると、「ゴキブリに火をつけ、駆除」するって、全然意味が分からない。警察はこの男の供述を真に受けて、再現実験とかするつもりなのだろうか。バルサンは煙は出ても火は出ないしね。とは言っても、私の知人で実際にゴキブリに火を点けた奴はいるのだ。ルーペで日光を集めて、死んだゴキブリに当てたら、自然発火したんだって。