本社も危機

数年前に、日本の東芝EMIのリストラに絡んで関連会社の社長が自殺したという記事をメモしたことがある*1。そのリストラは英国のEMI本社の指示だった。その英国EMIも経営危機に陥っているという。
『読売』の記事;


ビートルズやクイーン、英EMIが経営危機

 【ロンドン=是枝智】ビートルズやクイーンなど多くの有名アーティストのアルバムを出してきた老舗の英音楽大手EMIグループの経営危機が表面化している。


 2009年3月末時点で負債が資産を4億800万ポンド(約570億円)上回る債務超過に陥っていることが明らかになり、監査法人が、事業継続について「重大な疑義がある」と指摘したからだ。

 EMIは07年に欧州の投資ファンド、テラ・ファーマに買収されたが、金融危機の影響もあって音楽出版事業などが振るわず、経営が悪化。09年3月期の純利益は15億6700万ポンドの大幅赤字を記録した。

 英紙フィナンシャル・タイムズによると、テラ・ファーマが他のファンドなどに資金提供を求めているが、米シティグループからの32億ポンドの借入金が大きな負担になっており、自力再建できるか微妙な情勢だ。
(2010年2月6日19時06分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100206-OYT1T00761.htm

ここで言及されているFTの記事というのは、


Andrew Edgecliffe-Johnson & Salamander Davoudi “'Significant doubt' over EMI's viability” http://www.ft.com/cms/s/0/d2bc2838-11f5-11df-b6e3-00144feab49a.html


のこと? また、


Gwen Robinson “Doubt cast on EMI’s viability” http://ftalphaville.ft.com/blog/2010/02/05/142151/doubt-cast-on-emi’s-viability/

大晦日

昨日行こうと思っていた店が既に正月休みに入っていたということがあった。昨夜辺りから爆竹が始まっている。今日で丑年は終わり。明日からは寅年。今年の特徴は春節とヴァレンタインが重なるということ。また、今年は農暦だけでなく、チベット暦の新年も明日からであるらしい。

或る陰謀理論の終了

承前*1

『朝日』の記事;


ロッキード事件「中曽根氏がもみ消し要請」 米に公文書

2010年2月12日3時30分


ロッキード事件の発覚直後の1976年2月、中曽根康弘自民党幹事長(当時)から米政府に「この問題をもみ消すことを希望する」との要請があったと報告する公文書が米国で見つかった。裏金を受け取った政府高官の名が表に出ると「自民党が選挙で完敗し、日米安全保障の枠組みが壊される恐れがある」という理由。三木武夫首相(当時)は事件の真相解明を言明していたが、裏では早期の幕引きを図る動きがあったことになる。中曽根事務所は「ノーコメント」としている。

 この文書は76年2月20日にジェームズ・ホジソン駐日米大使(当時)から国務省に届いた公電の写し。米国立公文書館の分館であるフォード大統領図書館に保管され、2008年8月に秘密指定が解除された。

 ロッキード事件は76年2月4日に米議会で暴露されたが、ロ社の裏金が渡った日本政府高官の名前は伏せられた。

 与野党いずれも政府に真相解明を要求。三木首相は2月18日、「高官名を含むあらゆる資料の提供」を米政府に要請すると決めた。

 文書によると、中曽根氏はその日の晩、米国大使館の関係者に接触し、自民党幹事長としてのメッセージを米政府に伝えるよう依頼した。中曽根氏は三木首相の方針を「苦しい政策」と評し、「もし高官名リストが現時点で公表されると、日本の政治は大変な混乱に投げ込まれる」「できるだけ公表を遅らせるのが最良」と言ったとされる。
http://www.asahi.com/politics/update/0211/TKY201002110364.html

さらに中曽根氏は翌19日の朝、要請内容を「もみ消すことを希望する」に変更したとされる。文書には、中曽根氏の言葉としてローマ字で「MOMIKESU」と書いてある。中曽根氏はその際、「田中」と現職閣僚の2人が事件に関与しているとの情報を得たと明かした上で、「三木首相の判断によれば、もしこれが公表されると、三木内閣の崩壊、選挙での自民党の完全な敗北、場合によっては日米安保の枠組みの破壊につながる恐れがある」と指摘したとされる。

 文書中、依然として秘密扱いの部分が2カ所あり、大使館関係者の名前は不明だ。

 結果的に、事件の資料は、原則として公表しないことを条件に日本の検察に提供された。(奥山俊宏、村山治)
http://www.asahi.com/politics/update/0211/TKY201002110364_01.html

また、http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20100212/p1には、『朝日』のオンライン版には載っていないが、紙の方には載っているという当時の米国政府関係者の反応への言及が引用されている。
ロッキード事件陰謀論〉は「これでとどめが刺された」ということだ。
ロッキード事件については、先ず(以前にも記したが)ヴェトナム戦争敗北やウォーターゲートという米国側の文脈で理解すべきだろう。それから、(これはどの疑獄事件でも或る程度共通しているのではないかと思うが)相対的弱者(ボーイングに対するロッキード、財閥系商社に対する丸紅、JALに対するANAなど)が権門に擦り寄ったのがばれて、大ごとになったということ。

ヴァレンタインも近かったことだし

たった今、『春節晩会』で王菲が歌っているのを視た*1。花火と爆竹はこれからがピーク。
さて、『産経』の記事;


“腰パン”で抗議殺到の国母「五輪は特別なものではない」

2010.2.12 12:13


 シャンとせい! バンクーバー冬季五輪は12日(日本時間13日未明)開幕。日本選手団の入村式が10日、バンクーバーの選手村で行われ、選手として冬、夏合わせて7度五輪に出場した橋本聖子団長(45)やスノーボードハーフパイプ(HP)の選手ら30人が出席した。この入村式では、HP男子代表の国母和宏(21)=東海大=に対し、服装の乱れがあったとして、全日本スキー連盟の判断で出席を自粛させる異例の措置も取られた。いざ、勝負。気を引き締めろ?!

 たるみ、緩みは許さない。メダル獲りに向けて、立ち居振る舞いから、正される。全日本スキー連盟はこの日、HP男子代表の国母に服装の乱れがあったことを理由に、入村式への出席を自粛させた。

 同日に行われたHP代表の会見で、国母は「競技には影響ない。反省してま〜す」と語尾を伸ばした言い方で“謝罪”の言葉を口にし、萩原文和監督は「非常に残念で申し訳ない。本人は反省しており、今後は競技に専念させる」と深く頭を下げた。

 今回の“懲罰”は、国母が9日に成田空港から出発した際、選手団の正装である日の丸付きのジャケットを着ていたが、サングラスをかけ、ワイシャツのすそをベルトの外に出し、スラックスは腰骨の下まで下げてはくなどしていた。全日本スキー連盟は報道で知った人々から抗議を受けたという。

 日本オリンピック委員会(JOC)はこの日、橋本聖子団長を通じ、萩原監督に口頭で注意。移動にはコーチ3人も同行しており、JOCは指導力不足を指摘した。橋本団長は「気持ちを入れ替え、集中してやってくれると思う」と、五輪期間中の処分は科さない方針。JOC・竹田恒和会長も「本人が自覚して試合に集中してもらいたい」と苦言を呈した。
http://sankei.jp.msn.com/vancouver2010/news/100212/oaf1002121214001-n1.htm

日本代表選手団の「編成方針」には「日本代表選手団は、礼儀を尊び規律を遵守し、活力ある日本を代表するに相応しい選手・役員をもって編成する」とうたってある。ズボン、パンツを低い位置ではくファッション、いわゆる「腰パン」はヒップポップ系ファッション、サーファーなどで90年代前半からされていたが、同年代後半から男子中高生で流行に。茶髪、ピアス、ルーズソックスなどと並び、校則違反として社会問題化した。スノーボード陣は前回トリノ五輪でも服装や態度の悪さが指摘されており、JOC・市原則之専務理事は「国民の税金を使った代表の服装じゃない」と憤る。

 それでも、競技に向けては強気。10日付の地元紙「バンクーバー・サン」に、銀メダル獲得との予想記事が掲載された国母は「気持ちは何も変わっていない。自分にとって五輪はスノーボードの一部で、特別なものではない」と平常心を強調。前回トリノ五輪金メダルのショーン・ホワイトを擁する米国勢が強敵となるが、「自分の滑りをすることしか考えていない」と言い切った。

 男女HPの公式練習は14日にスタート。「一罰百戒」−。国母への“お仕置き”が、日本選手団への刺激になれば…。
http://sankei.jp.msn.com/vancouver2010/news/100212/oaf1002121214001-n2.htm

また、やくみつるというジャンキーみたいな名前の漫画家が何か言っているらしい;

【国母服装問題】やくみつるさん「本国に召還すべきだ」
2010.2.13 09:53


 ■漫画家やくみつるさんの話「本来、制服を着崩すことがよくないのに、学校では恒常化しており先生がとがめることもない。この風潮に待ったを掛けるためにも、国母選手は本国に召還すべきだ。競技に出場させるのは温情を多分に感じる。注意された時点で素直に謝っていればいいのに、舌打ちをし『反省してまーす』と発言するなどの対応がまずい。体育はよくても、知育徳育が甚だしく達していない。幼少からプロライセンスを取り、調子こいた人生を送ってきたのだろう。突出した才能を開花させるには、周りが言い含めないといけない」
http://sankei.jp.msn.com/vancouver2010/news/100213/oaf1002130954003-n1.htm

国母和宏という人を知らず。ただ、写真を見る限り、彼のファッションはけっこうイケていたと思った。但し、鷲田清一先生も指摘する通り、「制服征服」を着崩すというのはファッションの初歩の初歩なのだが(『ちぐはぐな身体』、p.52ff.)。また、開会式の本番という儀礼的文脈でああいうスタイルをしていたわけではない。ファッションというのはイケてるかイケてないかで判断すべきものだろう。それを「乱れ」で判断するというカテゴリー・ミステイクをするのは高校の生活指導の教師の眼差し。生活指導の教師といえば日教組。ここに日教組の影を看て取るのが3K的には正しい態度といえるだろう。また、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091218/1261107560とかを参照すれば、そういう抗議というのは日本の北朝鮮化の表れでもあるので、やはり〈在日〉の陰謀の可能性を疑わなければならない。3Kとしては、そういう問題こそ追及していただきたかった。ただ、やはりこれらは信憑性が薄く、イケてない非モテどものルサンティマンの炸裂というのが妥当なところだろうか。ヴァレンタインも近かったことだし。
ちぐはぐな身体―ファッションって何? (ちくま文庫)

ちぐはぐな身体―ファッションって何? (ちくま文庫)