「歌舞伎町」by 馳星周

柏崎歓「歌舞伎町の混沌を生きて 馳星周不夜城」」http://book.asahi.com/booknews/update/2018033000005.html


名前は知っていても本は読んだことがない作家というのはわんさかいて(汗)、この馳星周*1もそのひとりなのだった。『不夜城』も金城武主演の映画は観ているけど小説は読んでいない。

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「歌舞伎町」について曰く、

歌舞伎町、最初は怖かったですよ。大学入って上京して、ゴールデン街でアルバイトしたのが1980年代、バブル前夜からですね。パンツ一枚の男が屋根の上逃げてたり、誰かが路地で血吐いてぶっ倒れてたり、なんだここはって初めは思ったけど、でもすぐ慣れた。

 むちゃくちゃで混沌(こんとん)としてたけど、楽しかった。無秩序の楽しさでしょうね。なんだかんだ言っても、日常生活では秩序のなかで暮らしてるわけじゃないですか。銀座とか六本木と違って、歌舞伎町は無秩序で猥雑(わいざつ)で、そこに身を置いてるのが楽しくてしょうがなかった。

 作家デビューの前はライターやってたんですけど、バブル崩壊のあおりとかそういうことなのか、年収の半分くらい稼がせてもらってた雑誌がつぶれちゃって。また営業して回るのも面倒くさいし、でもものを書く仕事しか自分はできないっていう自覚はあったので、じゃあ一度本気になって小説書いてみようかと。それが『不夜城』です。

銀座はともかくとして、六本木だってそれなりに「無秩序」だといえるだろう。一説によると、所謂暴力団事務所は歌舞伎町よりも六本木の方が多いらしい。とすれば、やくざの人口密度だって大きくなる筈だ。六本木の「無秩序」が歌舞伎町を初めとする東京の他の場所と違うのは、それが六本木の租界性、もともと(横須賀や沖縄のように)フェンスの向こうだったことに由来することだろう(Cf. 吉見俊哉『親米と反米』*2)。
親米と反米―戦後日本の政治的無意識 (岩波新書)

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