A kind of palimpsest?

承前*1

菅野完「「「安倍首相からの100万円」」https://news.yahoo.co.jp/byline/suganotamotsu/20170317-00068806/


ここでの主役は菅野氏の文章ではなく。郵便貯金の振込用紙の写真。森友学園の籠池理事長は2015年9月5日(土曜日)に安倍昭恵から「主人から」ということで100万円入りの封筒を手渡された。翌々日の9月7日(月曜日)、その100万円を「淀川新北野郵便局」で「森友学園」の口座に振り込んだ。最初「依頼人」欄に「安倍晋三」と書いたが、「会計の人に止められたんで、森友学園の名義で入金した」。「依頼人」欄は「安倍晋三」が白い修正液で消され、その上から「森友学園」と書かれているが*2、裏から光を当てると、「安倍晋三」という文字列が浮かび上がってくる。
これは或る種のパランプセストだね。
加藤弘一*3、ジェラール・ジュネットに言及して曰く、


パランプセストとは再利用された羊皮紙をいう。羊皮紙は貴重品だったので、前の文書のインクを削りとって次の文書を重ね書きするということがよくおこなわれたが、前の文書は完全には消えず、肉眼でも判読できる場合が多かった(光学処理をすれば前の前の文書やその前の文書も判読できる)。ジュネットは文学テクストの相互関係を羊皮紙の重ね書きになぞらえ、先行するテクストを下層テクスト、後続のテクストを上層テクストと呼んでいる*4。たとえば『アエネーイス』と『ユリシーズ』はともに『オデュッセイア』から生まれたイペルテクストであり、『オデュッセイア』は『アエネーイス』と『ユリシーズ』の共通のイポテクストだというように。
http://booklog.kinokuniya.co.jp/kato/archives/2011/06/post_260.html
また、吉増剛造『我が詩的自伝』*5に曰く、

(前略)一葉の写真では本当の写真性が出てこないときには、もう一葉の写真をその上に被せるようにして二重撮影するのね。重ねているということは、この写真はうそだと言っているということなんです。うそだというのはちょっと言い過ぎだけども、古文書の筆遣いに”見セ消チ”というのがあって、消してあるところを、少しみえるようにしておくという筆遣い。それに少し近いのね。それと、パランプセスト(羊皮紙の重ね書き)に近いところもあるでしょうね。(p.160)
さて、


「「総理を侮辱」すると国会で喚問される「美しい国」安倍ジャパン」http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20170317/1489704875


雲脂もとい不経済もとい不敬罪ですか。