「類人猿ボノボ」

朝日新聞』の記事;


類人猿ボノボも40歳前後で老眼に 京大霊長類研が解明

西川迅

2016年11月8日03時56分



 人間に最も近い類人猿とされるボノボが40歳前後になると老眼になることを、京都大霊長類研究所などのチームが明らかにした。老眼が進む速度は人間とほぼ同じだった。8日、米科学誌カレントバイオロジーに発表した。

 同研究所博士課程の柳興鎮(りゅうふんじん)さんらはアフリカ・コンゴ民主共和国に生息する11〜45歳の野生ボノボ14頭について、毛繕いをする際の目と指の間の距離をデジタルカメラなどを使って測定した。

 その結果、40歳未満の9頭は7〜14センチに収まり、加齢とともに少しずつしか距離が伸びなかったが、40歳以上の5頭は伸びて45歳では42・8センチだった。雄と雌で差はなかった。

 老眼は加齢に伴い目のピントを調整する仕組みが衰えて起こる。人間も40歳前後から老眼が進み、焦点を合わせるのに必要な距離が伸びるが、ボノボと人間の伸び方のパターンがほぼ同じだった。柳さんは「人間とボノボの目の老化に大きな差がないことが分かった。読み書きなどの目と近い距離での作業とは関連がなく、老眼が自然な老化の過程であることを示している」と話す。

 人間ではスマホの見過ぎなどで老眼に似た現象が起こる「スマホ老眼」が問題になっているが、これは老化とは関係なく、眼精疲労が原因とされる。(西川迅)
http://www.asahi.com/articles/ASJC754BHJC7PLBJ002.html

タイトルにある「類人猿ボノボ」という表現を見て、笑ってしまった。だって、「ボノボ」が「類人猿」だということは殆どの人にとって既知のことでしょ。それよりも、以前は「ピグミーチンパンジー」と呼ばれていたわけで、私も含めて、「ボノボ」よりも「ピグミーチンパンジー」という方がぴんと来るという世代の人も少なくない筈だ*1。そういう世代の読者に対しては、


ボノボ(ピグミーチンパンジー


と表記した方が親切なんじゃないか。
ところで、ボノボはLOVE & PEACEな種として注目されている(See eg. Richard Wilkinson & Kate Pickett The Spirit Level*2, pp.203-204)。それで、


ボノボの生態について 18禁」http://blog.goo.ne.jp/ten05051011/e/e8a705ea919049761e201355cb854756
「性の問題を力で解決するチンパンジーと力に関わる問題をセックスで解決するボノボhttp://bbs.jinruisi.net/blog/2013/06/1147.html


どちらもそれに沿ったエントリーなのだが、表現においてきわめて類似した箇所を共有している。読み比べた人は誰もが、どちらかが剽窃しているか、或いはどちらも共通するオリジナルから丸写ししているのだと判断するんじゃないだろうか。因みに前者は2006年、後者は2013年のテクストである。

The Spirit Level: Why Equality is Better for Everyone

The Spirit Level: Why Equality is Better for Everyone

冒頭に引用した記事に戻ると、人間の40歳とボノボの40歳はかなり意味が違う。寿命から考えると、人間の40歳は中年だけど、ボノボの40歳は老年。

*1:境目は何歳くらい?

*2:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160809/1470761804