Lynn Pan Old Shanghai - Living, Loving, Thinking, Again

作者: Lynn Pan
出版社/メーカー: Marshall Cavendish International (Asia) Pte Ltd
発売日: 2011/10/15
メディア: ペーパーバック
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Lynn Pan*1 Old Shanghai: Gangsters in `Paradiseを読了したのはけっこう前。取り敢えず、目次を書き出しておく；

List of Illustrations
Preface

Part I
1. Auspicious Tuesday, 9 June 1931
2. Waterfront Urchin, 1887-1908
3. Secret Societies and Opium, 1908-1915
4. Gangland and Warload, 1915-1927
5. Shanghhai Takeover, 1927-1931
6. The Opportunist as Patriot, 1931-1936

Part II
7. Bloody Saturday, 14 August 1937
8. The Rising Sun Over Shanghai, 1937-1938
9. Appeasement and Terror, 1938-1939
10. The Nanjing Regime, 1939-1940
11. Traitors and Guerillas, 1940-1944
12. Betrayals and Homecomings, 1944-1946
13. Just and Unjust Deserts, 1946-1948
14. Red Star Over Shanghai, 1948-1952

Index of Names

正直に言って、この本は失望した。名実が一致しない。タイトルから想像すると、この本はやくざ者（gangsters）を中心に据えた上海という都市の歴史についての本だと思うではないか。勿論上海のゴッドファーザーと（事後的に）呼ばれた杜月笙*2は重要な登場人物ではある。しかし、杜月笙が活躍した上海という都市が焦点化されることはないのだ。また特に後半においては、杜月笙は上海には殆どいないのだった。南京政府成立に伴い香港に移り、香港が日本軍に占領されると重慶に移り、光復後上海に戻ってきたものの、人民解放軍の上海占領を前に再度香港へ逃れ、香港で客死する。本書はやはり「上海」という土地の歴史（物語）ではなく、杜月笙のほかに、汪兆銘（汪精衛）*3、戴笠*4、さらには胡蘭成や張愛玲といった人物を中心に据えた20世紀前半の中国の歴史についての本といった方がいいだろう。
Old Shanghaiという場所を具体的に理解しようとするならば、本書よりも、榎本泰子『上海　多国籍都市の百年』*5、Andrew David Field Shanghai’s Dancing World、藤井省三『現代中国文化探検』（第二章「上海　租界都市の光芒」）とかをお薦めしたい。或いはまた、かつて老上海の終焉を若い女性として生きたLiliane WillensのStateless in Shanghai*6。