ホメオパシーはよくわからない


osaan 2011/04/03 14:33 冷静に行動してはいるつもりですが、ちゃんとしてると思った学者先生がこんなことを言ってたりすると、逆に不安がつのってしまって困惑します。

2011年3月21日14時- 山下俊一氏・高村昇氏「放射線と私たちの健康との関係」講演会
http://ameblo.jp/kaiken-matome/entry-10839525483.html
>放射線の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています。

実際「科学的に」そうなのかもしれませんけどね……
今回の災害で、原発どころか「科学」への信頼まで低下してこないかと心配です。
一時期叩かれたホメオパシーも息を吹き返してるようですし。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20110403/1301789966#c1301808814

たしかに免疫力とメンタルな状態との関係はいわれている。また、癌の進行とメンタルな状態との関係も。「放射線の影響」はどうなのだろうか。高野雅夫「原発震災(3)放射線障害について」*1では、放射線の人体へのダメージについて、「急性障害」と「晩発性障害」を区別している。「急性障害」は〈待ったなし〉であり、「ニコニコ」でも「クヨクヨ」でもおかまいなしというか、そうしている暇はない。ただ、今のところ、「急性障害」の危険に曝されている人というのは(取り敢えず)福島原発の現場で作業している人だけである。「晩発性障害」の場合、例えばこれくらいの放射線を浴びたらかくかくしかじかの症状が出るという単純な因果関係が成り立つわけではなく、10年や20年といった中長期的なスケールにおいて癌発症の確率が上昇するという仕方で現れる。だから、全体としての確率は上昇するものの、同じ量の放射線を浴びても癌になる人とならない人が出てくるわけだ。前者と後者の差異に関して、「ニコニコ」も幾分かの貢献はするのだろうけど、それがどのくらいなのかはわからない。
さて、「ホメオパシー」というのがよくわからない。手許の英和辞典では、homeopathyの訳語として「類似[同毒]療法」を採用し、「治療対象とする疾患と同様な症状を健康人に起こさせる薬物をごく少量投与する治療法」と解説し、反対語としてallopathyを挙げている。因みに、allopathyは「逆症療法」、「治療する病気のひき起こす状態とは全く別種の状態を積極的に生じさせ、後者によって前者を消失させる正規療法」。ということで、天然痘に対抗する種痘は「ホメオパシー」なんじゃないかと思ったりするのだが、最近問題になっている「ホメオパシー」というのはどうも違うようだ。また、kmiuraさんが独逸における「ホメオパシー」を紹介している;

ホメオパシーはドイツが発祥の地だと、今回の一連の日本での報道などを眺めていてはじめて知ったのだが、ホメオパシーという言葉は、ドイツで日常的に聞く。「あそこの医者はホメオパシー寄りなので、抗生物質をなかなか出さない良心的な医者だ」といったような感じで使われる。そんなわけで、私は自然治癒を尊重した治療方針をホメオパシーと呼ぶのかな(字義から、病気寄り、と私は解釈していた)、となんとなく思っていただけだった。日本風に病は気からなわけね、と思っていた。もともとホメオパシーの考え方は、日本の病の考え方にフィットしやすいのかもしれない。だから日本のホメオパシーは「反西洋医学」とかいうのだろう。ホメオパシーだって西洋医学である。

そもそもホメオパシー専門の医者というのは私は見たことがない。医者なので、ホメオパシーよりの医者であっても、炎症がひどければアロパシーな医者になって抗生物質を処方する。まあ、普通に医学を勉強しているのだからあたりまえである、と私は思っている。私自身の印象だと、ホメオパシーの医者は、やたらと病欠証明書を出す。とにかく休め、と4日間の休暇の処方をだしたりする。ホメオパシーの薬、というと例の砂糖粒「レメディ」を指すわけではなくて、体に優しい薬をさす。例えば喉が腫れているときには、ハッカの入った薬を喉に振りかけて様子を見るなどなど。日本でショウガ汁を飲むようなものである。

代替治療の医者としてはハイルプラクティカー、と呼ばれる職業の人たちがいる。薬草、ホメオパシーアロマセラピーカイロプラクティック、フィジオセラピー、鍼、キネシオロジーなどなどを網羅する代替医療の専門家である。医学校をでている必要も特定の教育を受けている必要もないが、かなり難しい試験に通らなくてはいけない。目下ドイツには2万人いるそうである。なお、ドイツと違ってオーストリアの場合は、普通の医者の免許がなければ、ホメオパシーの処方をしてはいけないそうだ。

私自身はカイロプラクティック以外では行ったことがない。私的な健康保険はこの支払いをしてくれる。公的な健康保険はこの治療の支払いを行わないらしいが、普通の医者の処方で「フィジオセラピー」を指定してもらえれば払ってもらえるのだろうと思う。ホメオパシーに関連するドイツの記事などを眺めていると、現代医学を極力排除しようとするラジカルなハイルプラクティカーもやはりいるようで、これは悪い行いであると一般に認識されている。このあたりのラジカルなフラクションによる著作、治療方針が偏って日本に輸出されているのかもしれない。
http://d.hatena.ne.jp/kmiura/20100811#p1

これを読むと、日本でいわれている「ホメオパシー」と独逸でいわれている「ホメオパシー」は違うということはわかるのだが、肝心のホメオパシーとは何かということについての謎は深まる。