「エミリーはプレイガール」かよ?

Piper at the Gates of Dawn

Piper at the Gates of Dawn

ピンク・フロイドのファースト・アルバムThe Piper at the Gates of Dawnを聴いたのだけれど、勘違いしていたことがあって、(彼らのセカンド・シングルでもある)”See Emily Play”*1という曲が収録されているとずっと思っていたのだけれど、収録されていなかった。それはともかくとして、この曲の日本でのタイトルは「エミリーはプレイガール」である。素直に訳せば、「エミリーが戯れているのを観てごらん」となるのに。某マイミクさんがロックの邦題(さらに訳詞やライナーも)酷いということを言っていて*2、でも『対自核(Look at Yourself)』*3というのは名訳じゃない? とかコメントを差し挟んだりしたのだが、「エミリーはプレイガール」は酷いタイトルということになる。ピンク・フロイド関係では、あと「吹けよ風呼べよ嵐(One of These Days)」というのもあった*4ピンク・フロイド側がWish You Were Hereの日本語訳として『あなたがここにいてほしい』というのを指定したというのは*5、当時日本語のタイトルが酷いというのが英国まで伝わっていたいたということなのだろうか。ただ、曲名こそ「あなたがここにいてほしい」だったが、アルバム・タイトルの方は『炎』だった。

対自核(紙ジャケット仕様)

対自核(紙ジャケット仕様)

Wish You Were Here

Wish You Were Here

さて、The Piper at the Gates of Dawnだけれど、その中でインストゥルメンタルの”Pow R. Toc”と”Interstellar Overdrive”はシド・バレット*6ロジャー・ウォーターズ*7リチャード・ライト*8、ニック・メイソンの4人全員が作曲者としてクレディットされている。そして、”Take up Thy Stethoscope and Walk”がウォーターズの作詞作曲で、残りは全部シド・バレットの作詞作曲。後にピンク・フロイドサウンド面ではデイヴ・ギルモアによって、世界観においてはロジャー・ウォーターズによって支配されていたとも言われるが、”Take up Thy Stethoscope and Walk”の歌詞でウォーターズはかなり徹底的に言葉の音というか韻律に拘っている。

Doctor doctor I’m in Bed
Doctor doctor aching head
Doctor doctor gold is lead
Doctor doctor choke on bread
Doctor doctor underfed
Doctor doctor gold is lead
Doctor doctor Jesus bled
Doctor doctor pain is red
Doctor doctor dark doom
Gruel ghoul greasy spoon
Used spoon dark room


Music seems to help the pain
Seems to motivate the brain
Doctor kindly tell your wife
That I’m alive
Flowers thrive
Realise
Realise
Realise

EDで終わる言葉が7つ繰り返されて、さらにはgruel、ghoul、greasyと、gで始まる言葉が3連発。後半はウォーターズらしいというか、”If”*9なんかも連想させるところがあるともいえる。また、wife→alive→thrive→realiseというか、aif→aiv→aiv→aizという連なりが面白いと思った。こういう少しずつ韻を踏み外していく技法を何というの?
Atom Heart Mother

Atom Heart Mother