「家畜」の話

映画についての「うさこ」さんのコメントは常に鋭い。例えば、007の『ゴールドフィンガー』についても;


(前略)この作品でアジア人と女性が、人間――すなわち西洋の教養層男性――に隷属する家畜のように描写されていることには驚く。そして、なによりも家畜的なのは結局、ジェームズ・ボンド自身かもしれない。この主人公の性行動はごく直裁な交尾要求を目的とした言動にほとんど限定されていて、いいかえれば異様に貧しい。たとえばかつてコンラート・ローレンツが指摘したような、野生動物にはみられるはずの求愛文化の繊細な上部構造が欠落している。つまるところ、娯楽映画の主人公というのは、痛烈に家畜的なものなのかもしれない。かれらは観客の消費目的のために最適化された、人工的な生命像である。

「スター」――家畜化されたクジャク
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