承前*1
- 作者: 島泰三
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/11/01
- メディア: 新書
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「ビラ」の語源について、著者は英語billの訛りとする『広辞苑』説に異議を唱える;
私はずっと擬態語じゃないかと思っていましたけど。最近はフライヤーの方が既に一般的か。
しかし、学生用語はそのほとんどがドイツ語、フランス語に由来しているし*2、「ビル」と発音する英語からビラと訛るのはむつかしい。同じ言葉は、ドイツ語ではBilanz(ビランツ)であり、フランス語ではbilan(ビラン)である。つまりは、こちらからビラだけを切り取って日本の学生が使ったと考えるほうがいいのではないか(p.77)。
また、著者は大学闘争の背景のひとつとして、過剰な学生数を挙げる。引用されている「東洋大全共闘を指導した学生のひとり」である竹林正純先輩の言葉;
なお、大学闘争当時の日本大学の入学者数は入学定員の「五倍くらい」だったという(p.80)。
俺たちが立ち上がったのは、大学当局が学生を人間扱いしていないってことだったよなあ。四月に大学に行っても、学生が多すぎて教室に入れないんだよ。学生が大学をあきらめてバイトなんかを始めて、学校に来る学生が少なくなってはじめて、教室に学生が入れるくらいの数に減るわけだ。大学当局は、教育とか何も考えていなかった。「授業料さえきちんと払えば、卒業させてやる」って、そういう態度だった(pp.80-81)。
Martin Fackler “Japan's universities fighting to attract students”*3は、温泉で学生を惹き付けようとするFukuoka University of Economicsほか、21世紀の日本の大学の話。