they(小谷野敦)

承前*1

小谷野敦さん曰く、


 英語のtheyを、私は一律「彼ら」と訳すのだが、世間には、もしそれが女たちであったら「彼女たち」と訳すのが正しいと思っている人がいる。

 そもそも「彼女」などというのは、明治になって、西洋語に合わせて作られた語であり、もとは男も女も「彼」である。元来が男女差別のないところへ不要な区別を持ち込んだわけで、ではtheyが男女混合だったら、これを「彼ら」とやると、男に合わせたことになってしまう。どうしてフェミニストが「彼女たち」などという訳し方を問題にしないのか、不思議だ。もっとも、sheを「彼女」と訳している以上、「彼ら」とやったのでは、男に合わせているようだと思うのだろうが、それなら「彼女」なんかやめるがいいのだ。

 theyは「彼ら」でいいのである。
http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20070627

このロジックで言えば、そもそも男/女だけでなく、有情/無情問わず「彼」だったのだから、モノの集合でも「彼ら」と訳すべきだということになる。如何?
それから、ジェンダー・バイアスを回避するために「かれら」とする仕方がどれくらい意味あるものなのか知らない。また、家族社会学などで、英語のsiblingに対応するものとして、「きょうだい」という表記をすることがあるが、それがどれほど一般的なのかは知らず。