頭痛

 頭痛。頭痛に襲われるという言い方は正確ではあるまい。寧ろ、頭痛が居座るといった方がいいだろうか。
 頭痛が居座っていると、私は何をすることもできず、且つ何もしないこともできない。どんな単純作業でも、何かすることは困難になる。困ったことに、この「何か」には、「何もしないこと」、つまりぼけっとすることも含まれているのだ。頭痛に居座られて、横になるとか、動きを停止することしかできない。ただ、動きを停止するからといって、ぼけっっとすることは許されない。頭痛は私の身体も意識も釘付けにしていることになる。ぼけっとすることが許されたときには、既に頭痛は(片足くらいはこちら側に残しているかも知れないが)退去しかけているということになる。
 話は関係ないが、昔、〈痛み〉について語る哲学者はいるが、〈痒み〉について語る哲学者は知らないけれど、それは何故なのかと不図思ったことがあった。