高峰秀子

新春最初の訃報。
『毎日』の記事*1


高峰秀子さん死去:「二十四の瞳」など数々の名作に出演

高峰秀子さん(左)主演の「浮雲」の一場面

 「浮雲」「喜びも悲しみも幾歳月」など数々の名作に出演し、「デコちゃん」の愛称で親しまれた元女優、高峰秀子(たかみね・ひでこ<本名・松山秀子=まつやま・ひでこ>)さんが28日午前5時28分、肺がんのため東京都内の病院で死去した。86歳。葬儀は近親者で済ませた。喪主は夫で映画監督・脚本家の松山善三(ぜんぞう)さん。

 北海道生まれ。1929年見学に訪れた映画撮影現場で子役審査に飛び入り参加して野村芳亭監督に見いだされ、同監督の「母」で子役デビューした。小津安二郎監督の「東京の合唱」などで天才子役と称賛された。

 51年、日本初の総カラー映画「カルメン故郷に帰る」(木下恵介監督)で主演。54年に「二十四の瞳」「女の園」などで毎日映画コンクール女優主演賞を受賞。57年にも「喜びも悲しみも幾歳月」で同賞を得た。

 また成瀬巳喜男監督とは「稲妻」(52年)、同コンクール女優主演賞の「浮雲」(55年)などで組み、演技派の名を不動にした。この他、61年「名もなく貧しく美しく」(松山善三監督)、73年「恍惚(こうこつ)の人」(豊田四郎監督)など、約170本の作品に出演。海外でも、「乱れる」でスイス・ロカルノ国際映画祭女優賞を受賞。子役から少女スター、演技派女優へと着実に成長。メロドラマからシリアスな社会派映画まで、あらゆる役柄を変幻自在に演じ分けた。常に主役であり続けた、日本を代表する女優だった。

 母を早くに亡くした高峰さんは、女活弁士だったおばに引き取られ、頼ってきた親族を養う苦労を引き受けた。「二十四の瞳」の助監督だった松山善三さんと55年結婚。79年「衝動殺人 息子よ」で女優引退を宣言した。

 その後、94年にテレビドラマ「忍ばずの女」の脚本を執筆。99年には舞台化された。テレビ、舞台でも活躍したほか、軽妙なエッセーでも知られ、76年日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した自伝「わたしの渡世日記」などの著書もある。

 昨年10月下旬に体調を崩し、都内の病院に入院し、肺がんの治療を続けていた。先月27日ごろから病状が悪化した。葬儀は一切無用との遺言があったという。

毎日新聞 2010年12月31日 19時32分(最終更新 12月31日 21時03分)
http://mainichi.jp/enta/photo/news/20110101k0000m040037000c.html

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こういう文脈では不謹慎かも知れないが、木下恵介の『衝動殺人 息子よ』というのは〈嫌いな映画〉の上位に入ることだけは確実な映画。