吉野裕子

『朝日』の記事なり;


民俗学者吉野裕子さん死去
2008年04月19日21時33分

 50歳から独学で研究を始め、タブーを破る新説を次々と打ち出した民俗学者吉野裕子(よしの・ひろこ)さんが18日、心不全のため奈良市内の病院で死去した。91歳だった。葬儀は故人の遺志で行わない。お別れの会を予定しているが、日時・会場は未定。自宅は奈良市大宮町。

 東京都出身。女子学習院卒。津田塾大学を卒業後、英語教師を経て主婦をしていた。50歳のとき、習っていた日本舞踊の扇に関心を持ち、独学で研究。最初の著作「扇」(70年)で「日本の祭事に使われる扇は男の性を象徴している」、「蛇」(79年)では「日本民族縄文時代から蛇を祖先神として信仰している」と大胆な説を唱え、「在野の民俗学者」として注目を集めた。蛇信仰と並んで、古代中国の哲学、陰陽五行の考え方をもとに研究を進めた。

 95年に東京から奈良市へ転居。生前、「素人の晩学だったからこそ、学界の既成概念にとらわれなかった」と話していた。昨年1月から「吉野裕子全集」(人文書院)が発行され、最終の12巻の発行を今年6月に控えていた。
http://www.asahi.com/obituaries/update/0419/OSK200804190116.html

吉野さんの本で最初に読んだのはたしか『隠された神々―古代信仰と陰陽五行』で、『日本人の死生観―蛇信仰の視座から』を読んだとき、日本語の長いという言葉が印度のナーガに由来するとか書いてあって、俄かに信じがたかったという記憶はある。たしかに、蛇は長いけれど。