襄陽市場

上海最大の観光スポットは、豫園でもなく外灘でもなく、実は「襄陽市場」であるかもしれない。地下鉄の陝西南路駅のすぐ近く。所謂ぱっちもん市場。中国人にも外国人にも愛されてきたこの市場は今年の5月に閉鎖される。これは知的所有権を保護せんかい、ごるぁという米国を先頭とする国際社会の中国への圧力の成果であることは間違いない。万博を控えた上海にしても、場末ならともかく、東京に喩えるなら銀座通りや青山通りに対応する淮海中路にこんなものが堂々とあるのはちょっとまずいということになるのか。
また、Charlie ENGELMANN “Goodbye: Exit Xiangyang Market, enter IPR enforcement,”( Biz ShanghaiMarch 2006, pp.16-20.)が指摘するように、途上国から脱したい中国にしても、さらにハイテク産業を引きつけるためにはイノヴェーションから生じる知的所有権を保護する環境を整える必要はある。その意味では、”a pragmatic choice by government to invest in the future of China”(p.20)ということになる。ただ、


In the eyes of the government and the international business community, the closure of Xiangyanng Market is being hailed as a necessary step towards success in the battle to protect IPR. However, in the eyes of many expats, tourists, and residents in Shanghai, the closure of the controversial landmark is disappointment(ibid.).
ということはある。同一人物でも平日の昼間多国籍企業で仕事をしているときと、休日に消費者として買い物に行くときはスタンスが違う。また、誰もが仕事が終わって帰宅する途中に海賊版のDVDを買っている。昼間のオフィスではぱっちもん対策に頭を悩ましている多国籍企業の幹部であっても。多分。
ただ、ぱっちもんが抑圧されて消えるというのは、ブランド評価の有力な基準がひとつなくなるということ。日本の知識人が2ちゃんねるにスレが立って一人前であるように、ぱっちもんが出て、はじめてブランドとして一人前ということがあるのではないか。誰が「○ナカ」とか(以下自粛)のぱっちもんを作ろうとするか。